TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

生野区認知症・在宅医療シンポジウム

府医ニュース

2017年4月26日 第2818号

介護支援サービス「寸劇」で伝える

 生野区三師会や同区役所保健福祉課、居宅介護支援事業者連絡会、訪問介護事業者連絡会など9団体で組織する生野区認知症高齢者支援ネットワーク会議が主催する「認知症・在宅医療シンポジウム」が3月11日午後、同区役所で開催され、区民約210人が参集し、認知症支援の取り組みを学んだ。
 冒頭、主催者を代表し、芥川公昭・同区医師会長があいさつ。65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症であるとのデータを示しつつ、認知症支援は地域全体での取り組みが必要であると指摘した。また、3月12日改正の道路交通法では、75歳以上の高齢者に対する認知症対策の強化が求められるとして、医師会においても協議を重ねていると述べた。
 引き続き、藤井敬三・同医師会副会長が認知症について概説。認知症の中核症状では、▽記憶障害▽見当識障害▽理解・判断力の障害▽実行機能障害▽感情表現の変化――が現れるとして、特に記憶障害では近時記憶(数分前の記憶)が障害される一方、昔のことは覚えているとの特徴を示した。更に、家族が異変に気付いてから医療機関を受診するまでの期間が平均9カ月半であると紹介。症状の進行を抑えるためには早期治療が求められると述べ、同ネットワーク会議が作成した認知症チェックシート「STOP DO!」の活用を促した。加えて、「いくみんいきいきマップ」を参考に、「認知症相談窓口医」となっている医療機関に相談してほしいと呼びかけた。
 続いて、「もしも介護が必要になったら……費用はいくらかかるの!?」をテーマにシンポジウムを展開。同区三師会、訪問看護事業者連絡会、居宅介護支援事業者連絡会、区内地域包括支援センター連絡会の代表者が、それぞれの取り組みや費用面での負担について詳しく解説した。医師会からは宮本峯豪理事が医療保険と介護保険、在宅診療と往診の違いなどを説明。「訪問看護では原則、介護保険を優先」「医師の診療はすべて医療保険」と述べたほか、所得に応じて自己負担の限度額が異なることを紹介した。
 最後に同ネットワーク会議のメンバーが出演し、寸劇が披露された。適切な介護支援サービスの利用を促す内容を、ユーモアを交え演じる姿に会場は笑いに包まれた。