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池田市医師会講演会

府医ニュース

2017年4月26日 第2818号

池田市医師会(井上幹人会長)では、地域医療の向上を目的に、例年「池田市医師会講演会」を実施している。平成28年度の同講演会が3月18日午後、兵庫県宝塚市内のホテルで開かれ、茂松茂人・府医会長が講師に招かれたほか、府医と池田市医師会員らによる意見交換会が行われた。

会員間の相互理解を深める

 当日は巽孝彦氏(医療法人マックシール理事長)が座長を務め進行。最初に巽氏が理事長を務める法人の紹介があり、地域医療における役割が提示された。次いで、茂松・府医会長が、「医療をめぐる現状とその動向――意見交換を通して問題を探る」と題して講演。まず、国民医療費の増加を背景に医療費抑制策が続く現状を問題視。個人金融資産は世界でトップクラスであるにもかかわらず、消費が伸びないのは「将来への不安が根底にある」と分析し、国民とともに社会保障制度の在り方を検討すべきとの見方を示した。また、将来の人口推移予測を踏まえ、「地域包括ケアシステム」「地域医療構想」など、医療提供体制の改革が進められていると指摘。現状を報告するとともに、課題を提示した。特に、大阪府内の高齢者対策では、▽サービス付き高齢者向け住宅の適切な運用▽被保険者ひとり当たりの介護費が、全国一高額な現状の見直し――が必要であると強調。かかりつけ医が主体となり、「医療から介護をコントロールする」ことが大切と説いた。そのほか、1.第7次保健医療計画2.地域包括ケアシステム構築に向けた地区医師会の在り方3.新たな専門医の仕組み4.医療事故調査制度5.高額薬剤への対応――など、幅広い分野を解説した。
 意見交換会では、茂松・府医会長、中尾正俊・高井康之両府医副会長が登壇。巽座長の「会員との対話を重視するとの府医執行部の方針に基づき、意見を交わしたい」との発言を皮切りに、討論が繰り広げられた。池田市医師会員からは▽大阪府における今後の基準病床数▽病床を転換する際の補助金▽在宅医療推進に向けた取り組み▽総合診療医と開業医の位置付け▽院外処方による医療費増加――などが問われ、熱心な議論が展開された。