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医師・医療関係者のみなさまへ

第125回エイジレス健康講座

府医ニュース

2017年4月26日 第2818号

健康寿命延ばす「心構え」講演

 大阪府医師会はATCエイジレスセンター実行委員会と共催し、3月18日午後、ATCエイジレスセンター(住之江区)で「第125回エイジレス健康講座」を開催。約40人の府民が参加し、熱心に聞き入った。
 同講座は府民を対象とした講演会で、身近な疾患に関する話題など、健康情報の提供を行っている。今回は、栗山隆信理事が「地域で支える高齢者の健康」と題して講演。健康寿命を延ばすための心構えや対策、在宅医療などについて解説した。
 栗山理事は、超高齢社会を迎えた現在では「いかに健康に生きるか」を考える必要があり、疾病や介護の"予防"が重要視されていると前置き。平成12年には218万人であった要介護認定者は、28年には621万人と2.8倍にも増加しているとした。その上で、「医療者と介護者、行政、住民らが役割分担し、連携して高齢者を支える『治す医療』から『支える医療』への転換が必要」と強調。また、住み慣れた地域で自分らしく最期まで暮らし続けられるよう、医療・介護・住まいなど地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指す「地域包括ケアシステム」についても解説を加えた。
 引き続き、高齢者が陥りやすい状態として、「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」「フレイル」を説述。特に、フレイルに注意するよう促し、▽6カ月の間に体重が2~3kg以上減少した▽理由がないのに疲れやすい▽外出して活動する機会の減少▽握力が男性で26kg、女性で18kgを下回った▽信号が青のうちに横断歩道を渡れない――のうち3つ以上当てはまればフレイルであるとの診断基準を示した。また、悪化サイクルの防止として、1.栄養指導、2.運動指導、3.ポリファーマシー(多剤服用)など薬剤の整理、4.大脳白質病変悪化の予防――が肝要であると述べた。
 最後に、国が推進する「地域医療構想」に触れ、病床機能報告制度によって病床数が削減される可能性を危惧。府医では、地域の必要な病床を守るべく活動を展開していると強調した。更に、自身の健康のことを気軽に相談できる「かかりつけ医」を持ち、健やかに過ごしてほしいと呼びかける一方で、終末期についても家族と相談する機会を持つよう促した。