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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年4月19日 第2817号
大阪府医師会では、平成26年度より大阪府から「HIV感染者に対する地域医療体制構築事業」を受託しており、その一環として「HIV地域医療連携研修会」を3月30日午後、府医会館で開催した。同事業は地域医療介護総合確保基金に基づくもので、29年度が最終年となる。
当日は白阪琢磨氏(府医感染症対策・予防接種問題検討委員会委員長)が座長を務め、冒頭に宮川松剛理事があいさつ。事業の中で実施したアンケートでは、「HIV患者からの感染に対する疑問・心配」「更なる知識の向上」を求める声が多かったとし、「事業自体は終了となるが、要望に応えられる研修会等を企画したい」と述べた。引き続き、宮川理事が「HIV陽性者の診療連携について」と題して講演。慢性期を中心としたHIV診療体制構築の一助として、『血液・体液曝露事故(針刺し事故)発生時緊急対応の手引き』を作成し、「全医療機関に配布予定」と報告した。また、エイズ拠点病院が本来の機能を発揮するためにも、地域の医療機関の支援は重要とし、更なる連携推進を目指したいと力を込めた。
次に渡邊大氏(大阪医療センター臨床研究センターエイズ先端医療研究部HIV感染制御研究室長)が、「HIV感染症で期待される病診連携と課題」として、地域全体で診療する体制の必要性を訴えた。まず、新規診断HIV感染者数は横ばいであるものの、抗HIV療法の進歩に基づく予後の改善や高齢化から、▽歯科診療▽透析▽訪問診療――など、多岐にわたる連携の需要が高まっていると前置き。地域全体で診療する体制が求められると強調した。一方で、HIVの曝露対策に言及。医療機関ごとに「標準予防策」程度の対策マニュアルを作成し、周知徹底することが重要とした。更に、体液・血液曝露時には予防内服が必要としつつも、「国内での感染例は報告がない」と説明。過度に恐れることなく、日常診療に従事してほしいとの見解を示した。