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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年4月19日 第2817号
平成28年度合同懇談会を3月2日に大阪府医師会館で開催した。まずは「漢方における痛みの治療――その理論と実際」と題して、センプククリニックの千福貞博先生にご講演いただいた。漢方には興味があり、これまでも難治性疾患の児に漢方医の助けを借りながら使用したこともあるが、しっかり基礎を勉強していないだけに難しいイメージがなかなかぬぐい去れない領域である。しかし、シンプルに痛みの治療に関与する麻黄・附子・甘草を取り上げ、「薬徴」を紐解きつつ、主要成分と西洋医学との関連を交えて解説された。また、急性炎症の5徴(発熱・発赤・疼痛・腫脹・機能障害)と関連付けて、石膏を代表とする寒薬、麻黄などの温薬、その他の平薬との組み合わせの妙が非常に興味深かった。また、部位による使い分けとして「三焦」の考え方を示された。痛風や片頭痛、膝関節痛、打撲傷など具体的な症例に加えて、自院での集計結果を提示され、先生の魅力的な声と相まって大変説得力のある講演であった。
次に「日常診療に役立つ鎮痛剤処方の実際――新世代の鎮痛剤」を淀川キリスト教病院整形外科の高松聖仁先生にご講演いただいた。鎮痛剤による痛み診療の背景では、大方の先生に思い当たる安易な「do処方」には落とし穴があること、以前と変わった点は「副作用対策」と「治療薬の種類」であることを力説された。実際の処方について、痛みの機序(侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、混合性)、そして急性・慢性・難治性の区別、使用する薬剤と既存障害が重要であると、症例を交えて明快に解説された。
侵害受容性疼痛の第1選択はアセトアミノフェンであり、NSAIDsは急性期のみ使用し、弱オピオイドも積極的に使用する。高齢者ではリスクを考慮する必要があり、副作用と効果を考えて、オピオイドや鎮痛補助薬として抗てんかん薬や抗うつ薬などの併用を推奨された。神経障害性疼痛の場合、第1選択から抗てんかん薬、抗うつ薬を用い、急性期はプレガバリンまたはデュロキセチンから開始。難治性疼痛ではオピオイドを選択するが、副作用対策は初めからしっかりと行うことが重要であると示していただいた。