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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年4月19日 第2817号
大阪府医師会は、平成28年度学校医講習会を府医会館で開催。第1回(耳鼻科)は2月8日、第2回(眼科)は同月22日午後に行われた。両講習会には学校医や養護教諭など学校保健関係者らあわせて450人が参加。学校現場における課題の最新知識を学んだ。
開会あいさつで益田元子理事(府医学校医部会副部会長)は、日頃の活動に謝意を述べた上で、教育現場における学校医の役割を強調。児童・生徒の健康増進に寄与すべく更なる協力を求め、本講習会が今後の学校保健活動に役立てばと期待を寄せた。
第1回講習会(耳鼻科)では、川嵜良明氏(府医学校医部会耳鼻科対策委員会委員長)が座長を務め、菊池良和氏(九州大学病院耳鼻咽喉科助教)が「エビデンスに基づいた吃音支援――校医が知っておきたい最新知識」について講演した。菊池氏は、『DSM―5精神疾患の分類と診断の手引』の病名・用語翻訳ガイドラインにおいて、「吃音症」が「小児期発症の流暢症/流暢性障害」と変更され、1.発話の不安2.社会参加の制限3.早期の発達段階で生じる――が定義に加わったと述べた。その上で、「吃音は急激な言語発達の副産物」との疫学研究を提示した。また、診察時は症状が出にくい「ほどよい緊張感」であることが多く、吃音を主訴に来院した場合でも診断が難しいと指摘。加えて、「治癒しなかった吃音への支援」の重要性を強調し、医師には専門家として、保護者のフォローや学校とのパイプ役などの役割が期待されるとした。
第2回(眼科)では、まず、座長を務めた宮浦徹氏(府医学校医部会眼科対策委員会委員長)が小児の視力に関して概説。その後、木村亜紀子氏(兵庫医科大学眼科学教室准教授)が登壇し、「視機能の発達と弱視・斜視」と題して講演した。視力や両眼視機能は、感受性期(臨界期)を経て、時間をかけながら獲得するものだと述べ、1.内斜視2.間欠性外斜視3.先天上斜筋麻痺――について、それぞれの特徴や症状、治療法を詳説。特に、内斜視の感受性期は極めて短く、保護者が眼位異常に気付いて受診した場合も、医師が「自然に治る」と判断したことで機を逸してしまう事例が多いと注意を促した。初診時年齢により治療目的や方針が異なるものの、いずれも小児期に治療する重要性を改めて強調した。