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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年4月5日 第2816号
大阪府医師会は2月25日午後、平成28年度第4回周産期医療研修会を府医会館で開催した。「新生児・妊婦を救う新しいトピックス」をテーマに2題の講演が行われ、産科・小児科などの医師130人が受講した。
開会にあたり、笠原幹司理事があいさつ。大阪における周産期医療体制は全国でもトップレベルにあるとして日頃の尽力に謝意を述べるとともに、本研修会が診療活動に役立てばと期待を込めた。
座長は小川哲氏(大阪府済生会吹田病院小児科長兼新生児集中治療室科長)と中本收氏(大阪市立総合医療センター産科部長)が務めた。まず、水本洋氏(北野病院小児科〈未熟児・新生児部門〉部長)が「いざという時に新生児を救うラリンゲアルマスクエアウェイ」について講演した。27年10月の新生児蘇生法ガイドライン改定により、体温管理や有効な人工呼吸が改めて重要視されていると説明。その上で、人工呼吸を常に有効に行う難しさを指摘し、ラリンゲアルマスクエアウェイ(LMA)を紹介した。LMAは、新生児への侵襲度の低い器具として実用化されたもので、▽技術習得が容易▽食道挿管や片肺挿管のリスクがない▽助産師や看護師も使用できる――などの特長を挙げ、「LMAの普及は新生児の予後改善の一翼を担う」とまとめた。
続いて、松崎慎哉氏(大阪大学医学部産科婦人科助教)が「前置胎盤、前置癒着胎盤に対する術前管理――診断から手術療法まで」と題して講演し、前置胎盤と前置癒着胎盤の術前診断や手術療法について説明。「外科的な止血や治療が行えるもの」と、「外科的な介入のみでは十分な止血や治療が困難なもの」に分けて詳説した。また、前置胎盤においてより有効に止血するために開発したVCSの縫合糸と縫合法など、松崎氏が所属する大阪大学医学部附属病院における取り組みが示された。