
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年4月5日 第2816号
◆科学技術の進歩に大きく貢献した業績を顕彰する日本国際賞が、今年、CRISPR-Cas9システムを開発した2人のゲノム編集研究者、ジェニファー・ダウドナ氏とエマニュエル・シャルパンティエ氏に授与された。
◆CRISPR-Cas9システムによるゲノム編集技術は、これまでの手法に比べ簡単で精度が高く、あらゆる生物での遺伝子操作が可能になった。医療分野では、iPS細胞に匹敵かそれ以上の革新的技術と言われる。HIV患者の臨床試験で成果が示され、がん治療等の臨床研究も進んでいる。
◆このゲノム編集の研究は速度を増し、更に国際競争が激化している。しかし、それは危うい倫理観の上にある。ヒト体細胞を対象とした研究に留まらず、ヒト受精卵を使ったゲノム編集の研究論文が、中国の研究グループから相次いでいるのだ。将来世代が脅かされる領域にも入りかけている。
◆日本国際賞の理念は人類の平和と繁栄である。生命倫理に関わる研究が有益に向かうためには、世界共通の価値観とゴールを明確にしておく必要がある。(誠)