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時の話題

日医会員の禁煙進む

府医ニュース

2017年4月5日 第2816号

第5回日医会員喫煙意識調査報告から

 2月15日、日本医師会は第5回(平成28年)日医会員の喫煙意識調査を報告した。12年に第1回調査が実施され、その後、4年ごとに調査を行っている。今回は、1.12年からの日医会員の喫煙率の推移を明らかにすること2.日医会員の喫煙に関する意識について明らかにすること3.医師の喫煙行動に関連する要因を特定すること――を調査目的として実施された。
 第1回から今回まで日医会員の喫煙率は、男性が27.1%、21.5%、15.0%、12.5%、10.9%と推移しており、女性についても6.8%、5.4%、4.6%、2.9%、2.4%といずれも徐々に低下していた。年齢階級別の喫煙率の推移においては、男性では、ほぼすべての年齢階級で喫煙率の有意な低下が認められた。女性では、40歳代、50歳代、70歳以上で喫煙率の有意な低下が認められた。更に診療科別でみると、男性ではすべての診療科で喫煙率の有意な低下が認められた。女性ではサンプル数のばらつきが大きいために一概には言えないが、サンプル数の多い内科と小児科に加えて、皮膚科において喫煙率の有意な低下が確認された。
 生活習慣と喫煙率での検討に関しては、医師の喫煙に関連する要因は、男性では▽飲酒頻度が多い▽運動習慣がない▽幸福度が低い――などであった。医師の喫煙に対する意識については、男女ともに「医師は喫煙すべきでない」「患者は喫煙すべきでない」と考える人が増加していた。
 厚生労働省の国民・栄養調査によると、一般国民の喫煙率は、12年は男性47.4%、女性11.5%であったが、27年は男性30.1%、女性7.9%といずれも減少していた。今回の調査から医師の喫煙率がより低く、経年の減少が顕著であることが示唆された。
 医師の喫煙については、11年、WHOが「医師は喫煙すべきでない」と提唱。15年、日医も『禁煙推進に関する日本医師会宣言』(禁煙日医宣言)を発表し、医師および医療関係者の禁煙を推進、医療機関ならびに医師会館の全館禁煙の推進を提唱した。20年には日医『禁煙に関する声明文』を発表し、喫煙防止教育の推進など、今後進めていく5つの取り組みを示した。更に24年には、日医『受動喫煙ゼロ宣言――子ども達を受動喫煙から守るために』を発表。妊婦や乳幼児の家庭内での受動喫煙防止の推進、禁煙教育の徹底、すべての医療機関の敷地内全面禁煙、すべての医療関係者の喫煙率ゼロを目指すなど、6つの取り組みを発表した。
 これまで日医は、医師が率先して禁煙すること、更に受動喫煙防止の重要性を継続的に提唱しているが、今回の調査で確実に医師の喫煙率が低下していることが示された。