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医師・医療関係者のみなさまへ

第21回耳の日セミナー

府医ニュース

2017年3月29日 第2815号

大阪府耳鼻咽喉科医会主催
「耳の健康を考える」テーマに講演

 大阪府耳鼻咽喉科医会(川嵜良明会長)は2月26日午後、毎日新聞ビル・オーバルホール(大阪市北区)で耳の日セミナーを開催した。
 同セミナーは、日本耳鼻咽喉科学会大阪府地方部会と毎日新聞との共催により、3月3日の「耳の日」に合わせ毎年実施しており、今回が第21回となる。「耳の健康を考える」をテーマに講演やパネルディスカッションが行われ、当日は府民約450人が参集した。
 冒頭のあいさつで川嵜会長は、同医会の活動について紹介。府民への健康啓発をはじめ、会員向け講習会による知識の研鑽に努めているとした。また、中央急病診療所(大阪市西区)では、同医会員が出務し、休日・夜間の耳鼻咽喉科の診療体制を確保していると述べた。

3題の講演を実施

 引き続き、奥村隆司・同医会理事が「耳のしくみと検査」と題して講演。耳を構成する外耳・中耳・内耳それぞれの役割を示すとともに、音が聞こえる仕組みや聴力検査の種類などについて説明を加えた。また、難聴に関しては、外耳・中耳の障害で起こる「伝音難聴」と、内耳から中枢の障害で起こる「感音難聴」があるとして、耳や聞こえに違和感があれば医療機関を受診するよう促した。
 角南貴司子氏(大阪市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉病態学講師)は「中耳炎と補聴器」について講演。▽滲出性中耳炎▽慢性化膿性中耳炎▽真珠腫性中耳炎――の特徴や治療法を詳述し、中耳の病気は手術により聞こえの改善が期待できると述べた。また、補聴器を使用する場合に耳漏があると装用しにくくなるとしたほか、認定補聴器専門店で自身に合うよう認定補聴器技能者に調整してもらうよう呼びかけた。
 最後に、岩井大氏(関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授)が「めまい・耳鳴り・聴こえの低下」と題して、これらを引き起こす原因疾患や発症メカニズム、治療法などを説示。加齢とともに聴こえは低下するが、放置すると周囲とのコミュニケーションが希薄になり、心身にも影響を及ぼすと指摘し、補聴器の装用などで対策を講じるよう求めた。
 講演後には、池田知隆氏(元毎日新聞社論説委員)がコーディネーターを務め、パネルディスカッションを展開。事前に参加者から寄せられた質問に3人の講師が丁寧に回答した。