
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年3月1日 第2813号
◆紀元前400年頃、古代ギリシャの医学の祖と称されるヒポクラテスが、鎮痛・解熱のためにヤナギの樹皮を使用していた記録がある。そして、19世紀末に抽出、合成され、薬として誕生したのがアスピリンである。
◆'70年代には、アスピリンに脳卒中や心筋梗塞の発症を抑制する効果のあることが示されるようになり、その後、新たに抗血小板薬としても認めらることになった。
◆最近、既存薬や開発中止となった薬剤から新たな薬効を発見する研究開発、ドラッグ・リポジショニングが注目されている。睡眠薬として発売されたが催奇形性のため中止となったサリドマイドは多発性骨髄腫に、てんかん薬のゾニサミドはパーキンソン病に、勃起不全薬のシルデナフィルは肺高血圧症に等々、既に実用化されているものも多い。
◆薬の副作用や臨床的観察も、観点を変えれば新たな作用機序、薬物動態の解明と新規効能につながる。これまでの新しい発見による直線的な開発、進歩だけに頼らず、一度振り返ってみる柔軟な発想も求められる。(誠)