
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年2月22日 第2812号
高石市医師会(岩田信生会長)は1月28日、アプラホールと共催で映画「風に立つライオン」上映会を実施した。医師会広報活動の一環として毎年行っている上映会である。
映画は、さだまさしの歌「風に立つライオン」の原作を下敷きにした物語である。ケニアの紛争地域で医療ボランティアとして尽くした実在の日本人医師と、ふるさとの離島で診療所の医師として働く恋人とを2つの軸として展開していく。畑で育てた野菜を担いで、徒歩で山を3つ越えて、「先生が病気だと聞いてお見舞いに来ました」と言う離島の患者さん。食料が十分にあるわけではない国境近くの紛争地域から「昔、世話になった医者のふるさと日本が震災で大変だと聞いた。食べるものにも困っているだろうから届けてくれ」と一袋のとうもろこしを差し出す現地の人の姿が重なって見える。場所が変わっても変わらぬ、人が人を思いやる温かさ。一方で、紛争地帯での医療活動は、傷が治った患者が、時には再び戦争に身を投じ、人を殺す立場になるという厳しい現実との戦いでもある。襲撃され、命の危険が迫る究極の場面で、「撃ち返せ」と言われた主人公が叫んだ言葉が忘れられない。「オレは医者だ。銃は持たない」。
おだやかな好天に恵まれ、会場には今までにない多数の観客が来場された。午前と午後の2回の上映には立ち見の人もいるという、かつてない盛況である。上映会も回数を重ね、近隣の中学、高校生も多数参加されるようになって、市民に認知されるようになってきたとも言えるが、やはり主演俳優の人気に助けられたというのが大きな点ではないかと思われる。医療関連のテーマを取り上げて、なかなか見てもらえない地味な映画を選んで上映会を実施していたが、広報活動を主に考えると、みんなが見たがるような映画を選ぶという別の選択もあるのではないかと考えさせられた。
記事・写真提供 高石市医師会