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府医ニュース
2017年2月1日 第2810号
1月18日、厚生労働省は、平成28年度人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」を公表した。これは、毎年公表されている人口動態統計を基に昭和62年度から行われ、今回で4回目である。婚姻件数は昭和22・23年の「第一次婚姻ブーム」には23年で95万組となったが(団塊の世代の誕生)、24年からは急激に減少し、26年は67万組となった。その後は増加に転じ、45年には「第二次婚姻ブーム」を迎え、47年には110万組となった(団塊ジュニアの誕生)。以降、増減を繰り返し、平成21年以降は概ね減少傾向となっている。
これまで我が国では皆婚規範が強く、結婚することが当たり前であったが、近年では結婚を「選択的行為」と捉える見方が広まっていると分析されている。夫妻の組み合わせは、「夫妻ともに初婚」は減少傾向、「夫妻とも再婚またはどちらか一方が再婚」は上昇傾向で、平成17年に25%を超え、27年は26.8%となった。平均婚姻年齢は初婚、再婚ともに年々上昇傾向となっており、27年では、「夫妻ともに初婚」の場合、夫は30.7歳、妻は29.0歳、「夫妻ともに再婚」の場合、夫は46.5歳、妻は42.7歳である。
婚姻率(人口千人に対する婚姻件数の割合)の年次推移を欧米諸国と比較すると、1947年は欧米諸国より高率であったが、1950年代の初めにかけて急激に低下し、フランス、スウェーデン、イギリスとほぼ同率となった。1957年からは上昇傾向を示し、1971年をピークに急速に低下したが、近年はフランス(3.7:2014年)、ドイツ(4.8:同)、イギリス(4.5:2011年)に比べ高率(5.1:2015年)で推移している。ただし、ヨーロッパ諸国では、出生に占める嫡出でない子の割合が多いことから、婚姻率を比較する場合には注意が必要である。
出生に占める嫡出でない割合は、フランス56.7%(2012年)、スウェーデン54.6%(2014年)、イギリス47.6%、(2012年)、アメリカ40.2%(2014年)と欧米諸国では高率であるが、日本は2.3%(2015年)と著しく低い。我が国では婚姻関係にある男女の嫡出子が圧倒的に多いために晩婚化、晩産化、生涯未婚率の上昇が少子化に拍車をかけていると考えられている。
「男女共同参画に関する世論調査」(内閣府)によると、「結婚は個人の自由である」との考えが、20歳代、30歳代では「どちらかと言えば賛成」を含めると9割近くに達し、結婚するかどうかの自由度が高まっている。一方で「出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によると「いずれは結婚しようと考えている未婚者」は9割弱で推移しており、決して低くない。
結婚に対する社会規範の弱まりなどの意識変化が進んでいるものの、結婚願望は低いわけではなく、若者が家庭を持つことについての不安を軽減する政策が少子化対策に必要であることは確かなようである。