TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

新春随想

郡市区医師会長

府医ニュース

2017年1月18日 第2808号

 本紙恒例の郡市区等医師会長による「新春随想」。医療界に限らず幅広いテーマでご執筆をお願いし、15人の先生から玉稿を頂戴しました(順不同/敬称略)。

春よ来い
中央区東医師会長 前久保 邦昭

 新春早々男児誕生。次男に。"オヤジ、僕の名前はどうしてつけたんや?"誕生が迫って名付けを考えているらしい。"おばあちゃんが姓名判断に行って3種類の名前をもらってきた。その中から、これや、とすぐ決まった"我が子は3人ともこの状況で名前が決まった。親として無責任極まりないとも言えるが、何もしなかった訳ではない。それどころか、本を買い込み、にわか姓名判断師になった。名は体を表す、一生の名前だしな、と、悩みに悩んだ挙句、結局付けられなくなってしまったのだ。息子も生まれてくる子どもの名付けに、小生同様四苦八苦しているのだろう。"そう言えばうちの菩提寺に、最近跡継ぎのお孫さんが生まれたな、どこでつけてもらったか聞いてみよ"。電話すると、"あー、私とこは息子夫婦が自分らで決めたんですわ"。京都でも由緒あるお寺の跡継ぎ。きっと名のある高僧か姓名判断師に相談している筈だと思っていた私にはあっけない返事。”京都では、名付けは晴明神社にみなさん行かれますよ"と付け加えてくれた。陰陽師で有名な安倍晴明である。早速、晴明神社に行って申込書をもらってきた。観光客でにぎわっている境内は、きれいに紅葉していた。
 昔、自分が名付けで画数と格闘したノートを見ながら思う。オシャレばかりの現代っ子と思っていた息子が自分と同じことをしている。彼も、家族の主治医にはなれんなぁ。"春よ来い、早く来い"。晴明さんが急に身近になった。

「寡婦」と未婚の母
岸和田市医師会長 久禮 三子雄

 医療界というところは女性勤労者の多い分野である。他業種に比べ様々な年代の方達が万遍なく働く。一人親家庭も少なくない。会計事務所と職員の年末調整の話をしていて各種控除が話題になった。「寡婦として扶養控除手続をしたが婚姻歴がないから修正申告になった」とか。税法上の寡婦(寡夫)とは生死別を問わず婚姻歴を有する一人親家庭の事らしい。未婚の母は寡婦としての扶養控除は受けられないという。最近はこれで影響を受ける人達は少なくない。しかし婚姻歴の有無での区別を無くすとなると、法理では、税法上の配偶者控除を事実婚にも認めなければならなくなるのだろうか。更に飛躍すれば、内縁関係といっても様々で、そのうち同性婚にもとなり、パンドラの箱が開いてしまいかねないのであろうか。「先進的」と云われるフランスでは、同性婚でも看取りから相続の流れがあるからパートナーとのパックスという契約関係にあれば、実質的に家族として扱われるし、子育ての手当が出る。フランスは非嫡出子が半数を超えるらしいが、手厚い保護政策もあるだろうが、離婚に手間がかかるカソリックの国である事も影響しているのであろう。非嫡出子にも手厚い保護策があるという点からフランスの政策を賞揚する向きもあるが、話はそう簡単でもない。何より家族制度や家族観の問題があるし、制度が整えば子どもが増えるというほど単純でもない。今、日本は人口減少に対応して社会の仕組みを作り替えねばならない。それは、若い人達が男女の役割分担の見直しを含め、新しい家族の形をどう作り直していくかにかかっているのだろう。
(久禮の禮は"しめすへん"に豊)

河内長野市医師会の地域連携室の取り組み
河内長野市医師会長中林 才治

 新年明けましておめでとうございます。河内長野市は、南北朝時代活躍した楠正成のゆかりの、時の鎌倉幕府が攻めあぐねた山間の土地です。最近の少子高齢化と都市部への人口移動の回帰現象も重なって、府下で一番高齢化が進んでいます(平成27年で高齢化率30%)。そこで私ども本市医師会は、27年度より河内長野市の在宅医療・介護連携に「地域連携室」を要として取り組んでいます。従って常設の「地域連携室」を在宅医療の拡充を目的に医師会敷地内に置き、専従のスタッフ(連携室長、在宅医療推進コーディネータ、事務員)が対応しております。医師会主導で地域の多職種・行政も加わり多職種協働で一体的に連携体制を整えなければ、この地域での在宅医療推進につながりません。そこで多職種・行政と定期的に協議を重ね、「地域連携室」を在宅医療・介護連携支援センターと位置付け、この協議を地域ケア会議として、具体的に取り組み、企画・立案していくこととしました。
 河内長野市医師会は、幸いなことに南海、近鉄河内長野駅に近接しており、自前の敷地内に場所的にゆとりがあることも幸いして、多職種が集まる地域ケア会議を開くことのできる会議室、駐車場もあり、容易に河内長野市の地域ケア会議を誘致できます。そこで地域連携室は地域ケア会議(介護保険法第115条の48)を主戦場として、協議の場の一元化を図ることにより、様々な情報を共有化、各団体の調整を可能としていく場とし、「認知症施策」「ブルーカードシステム推進」「いきいき介護フェスタ」の3つの「地域課題に応じた委員会」を地域ケア会議の下に設置しました。また地域ケア会議は市会議員にも傍聴していただくことも考えております。ブルーカードシステムは28年11月1日より活動を開始しています。
 地域ケア会議ではその目的として、地域包括支援ネットワークの構築、地域の社会資源情報の集約と活用、地域が抱える課題分析および共有化、援助困難事例の検討、地域の介護支援専門員およびサービス業者の調整、指導および支援、新たなサービス資源開発等があげられており、様々な協議等が求められています。一方、地域包括ケアシステム構築には、高齢者が自分でできることを行い自費で必要なサービスを利用する「自助」、ボランティアや近隣・非営利組織を利用する「互助」、介護保険や医療保険などの社会保険制度を利用する「共助」、社会福祉制度を利用する「公助」の4つの「助」の定着と普及も重要であることは言うまでもありません。
 そのような状況の中で、「地域ケア会議」で話し合われ、決まったことは、できるだけオープンに広く啓発することが大切です。このためにも、行政(市会議員も加わって)への協力をお願いし、市民全般に遍く周知することが有効ではないかと考えておりますが、最初からは難しいと考えられます。さしあたっては、多職種それぞれの専門職向けの広報紙の発行も有効との意見もあります。また、地域の人々と直接接する機会を設ける(まちの保健室・カフェ)、すなわち、地域に気楽に行ける「相談できるところや居場所」を設け健康チェック・相談、在宅診療や訪問看護相談、栄養相談などができ、同時に地域ケア会議の動向などを伝える場所を作るという案もあります。更に、これからは、分野を問わない包括的な相談・支援体制(ワンストップ)の実現を目指そうという動きに注目する考え方もあります。このように様々な方法を有効に利用しようと思っています。

2017年私はヘビ年うお座、医師会の運勢占いは?
大阪狭山市医師会長 砂川 満

 私は運勢占いを都合よく気にしている。2016年の健康運上半期が少し悪く、下半期は一層悪い。私は99年、00年とクラブチャンピオン、しかし、01年は腰痛がひどく決勝で惜敗した。後腰痛と戦いゴルフクラブの4大タイトルを取った。15年から歩いてラウンドできなく、15年秋、16年春の連休は、私がカートを運転、クラブを杖にラウンド。スイング中は痛みがましで連チャンも6月2日崩壊! ラウンド後半テイクバックのトップで下半身に痛み・脱力感。立てない。一緒にラウンドのプロ、「今日はスイングの感じが良い」と何度もお褒め。痛いけど調子に乗ってクラブを振ってしまったではないか!
 それからの診察がたいへん。動けない。往診は娘に、嫁との買い物もなし。9月から悪化、左足首背屈可動域の減少。96歳患者を往診の際、玄関先で足の力が抜け転ぶ。家の人「おじいちゃん玄関で転んだこと、まだありませんで……」。谷町のビル前、突然脱力し転ぶ。おばちゃんと守衛さんがすぐに来て「救急車呼びますよ」と。私「大丈夫」と立ち上がる。そこは少し坂道で、再度へたり込んだ。たけり狂って2人が「救急車!」。必死で断り、来た車に逃げるように乗り込む。「まだまだ大阪の人は優しい」。ホテルでは付き添い補助。ホテルマンが優秀なのか、利用しているホテルが素晴らしいのか。
 L3―4、L4―5、L5―S1の脊柱管狭窄、L5すべり症、会話では「手術は嫌ですね」、でも心の中は「仕方ない」とあきらめ。周りの先生方にも心配をかけ、数多くのアドバイスをいただいた。そして、昨年12月、除圧手術と相成った。黄色靭帯はかなり石灰化。歩行時などの痛みはなくなり、あとは筋力低下の回復のみ。主治医は「術後2カ月すればゴルフ」と。ゆっくりとイメージを高め、ゴルフを痛みなしで楽しみたい。
 17年、私の健康運勢は全体的には明るい。今年包括ケアシステムが市町村で形となる。現在、介護保険は市町村が作り上げたと大きな顔をする。いつまでも地域医師会がシステムの中で頼られる存在でなければならない。また医師は地域医療の頂点として住民、行政に使われるのでなく、「頼られること」が大事だ。医師会の執行部はシステム作りを頑張るべきと思っている。医療は運勢占いではない。

今、医師に求められるプロフェッショナリズムとは
近畿大学医師会長 東田 有智

 最近新聞などの報道でよく目にするのが、医療に関する不幸な出来事、いわゆる「医療事故」である。マスコミの過剰報道、それに続く患者の過敏反応等により若い医師は怯えながら、日常診療にあたっていることも多々あると考えられる。しかし、日常診療において医師は常に正確かつ迅速な判断を求められる。そういうこともあり、診断・治療の平均化、あるいは統一化を図り医療の場に出てきたのがいわゆる「ガイドライン」である。元来診療ガイドラインというのは、evidence-based medicine(EBM)の上に成り立っているものであるが、我が国のガイドラインには日本でのEBMが少なく、そのほとんどが欧米のEBMであるといっても過言ではない。ガイドラインを何の疑いもなく、また何の工夫もなく、最近の若い医師は聖書のように利用している。
 EBMのステップ4、すなわち「患者への適応――個別の患者にとって臨床的に意味のある治療かどうかを考える」というプロセスが大事である。そこで今医師に求められるプロフッショナリズムとは何かを考えてみる。
 ABIMのプロジェクト・プロフェッショナリズムではプロフェッショナリズムの構成要素はAltruism(利他主義)、Accountability(説明責任)、Excellence(卓越性)、Duty(義務感)、Honor and integrity(誠実と高潔)、Respect(敬意)、A personal commitment to life-long learning(生涯学習)と述べている。
 今、医師に求められるプロフェッショナリズムとは、簡潔に言えば患者のニーズに全力で応えようと努力してくれると信頼される医師ではないだろうか。私は医師の先輩として、このような医師の育成に全力を注がなければならないのではないのだろうかと日々考えている。

鉄腕ジャック
豊中市医師会長 地嵜 剛史

 白黒のブラウン管を突き破りそうな勢いで飛び回る姿を、食い入るように見入っていたのは、ピカピカのランドセルを背負っていた頃でした。とんがった耳のついたヘルメットをかぶり、長靴をはいた鉄腕アトムは、拳を「グー」にして正義のため悪者たちに向かっていきました。
 「あ、この病気さっき習った」と心の中で叫びながら、すっかり氷の融けた薄いアイスコーヒーを口に運んでいたのは、解剖実習をさぼって喫茶店で過ごすのが日課となっていた頃でした。医師への一歩を踏み入れた身には、ブラックジャックの豊富な知識と、失敗しない手術は、新鮮であり親近感のあるものでした。
 前立腺がんを素早く切除する鉗子と電気メスを、驚きながら見つめていたのは、関西国際空港の麻しん騒動がどうにか収まった頃でした。メドゥーサの頭のような手術支援ロボット「ダヴィンチ」を操作するのは、患者に背を向けモニターを見つめている泌尿器科医です。手ぶれ機能、拡大機能が付いていることや無理な姿勢をとらなくて良いため、腹腔鏡を使うより精密な手術ができるそうです。鉄腕アトムと同じ頃に見ていた、鉄人28号が思い出されます。正太郎がリモコンを操作し悪者たちを攻撃しますが、リモコンが悪者たちに奪われると、反旗を翻します。やはり、機械を操作する人間の力が大切なのでしょう。
 わずか10cm四方の本体に6本の手、4本の先には鉗子と電気メス、2本にはエコーと迅速組織診断装置を備えています。検査や画像データを入力しておくと、最も適切な切除範囲をその場で自動的に判断し、ガンを切除します。新型手術ロボット「鉄腕ジャック」は、標準的な胃がんの切除術ならわずか10分で完了するそうです。まさに鉄腕アトムの10万馬力のパワーと、ブラックジャックのしなやかな手を併せ持つ手術ロボットです。これが初夢でなく現実となるのは、そう遠い日ではないように思います。

初夢
西区医師会長 永田 昌敬

 明けましておめでとうございます。私の初夢は、10年後の医院でした。
 70歳を少し超えた診察室は同じ風景でしたが、待合室に出て驚きました。愛嬌のある顔をしたロボットが、待合室で患者さんに薬の説明や世間話をしているではありませんか。「なんじゃこれは」と看護師に尋ねると、「2年前から大活躍していますよ。名前はみくりさんです。先生、休みすぎでは?」と笑われました。みくり?10年前に確か「逃げ恥」とかのドラマの主人公の名前だったっけ。そうでした。みくりさんは2年前から当院で仕事をしていたのです。彼女は医療秘書もします。電子カルテに私の患者さんとの会話を一言もらさずカルテに記載してくれます。
 冗談も記載するので迂闊なことは言えません。みくりさんはすべての患者さんに対する私の診断過程を記憶・分析して、自覚症状・他覚的所見・検査結果から私が行うであろう治療方針を瞬時に答えることができます。みくりさんの結果に疑問がある時は、みくりさんと話し合い、最終決定することがまれにあります。長時間電子カルテで作業することが彼女のおかげでなくなり、肩凝りも楽になりました。患者さんと向き合う時間が大半となり、更にコミュニケーションがとれます。レンタル代は高額ですが、昨年の診療報酬改定で医療ロボット導入の医療機関は、初診料・再診料が10%アップされています。
 いまや医療ロボットは高齢化した町医者には必需品となっています。在宅診療時は深夜でも自動運転の車で訪問するため、事故の心配もなく、みくりさんも同伴します。近日、点滴・注射・処置看護ロボットも発売されます。人間がしていた仕事を医療界も他業種と同様にロボットに任せてしまうとどうなるか?いずれ医師ロボットが市販されたら、恐ろしや…私のような年寄りの町医者は率先して用無しになるのか?えらいこっちゃ。
 汗をかいて目が覚めました。ノンフィクションにならないように今年もよろしくお願いいたします。

「多職種連携」に想う
浪速区医師会長 澤井 貞子

 新年、明けましておめでとうございます。
 医師として仕事をする上で、「連携」が必要不可欠なのは言うまでもありません。私は眼科医ですが、開業時より、手術等で紹介する病院との病診連携、そして患者さんが通う近隣の他科医院との診診連携、これは最重要課題のひとつです。この思いが、医師会活動に関わりだした理由でもあります。浪速区医師会は、こじんまりとして、病院医院を問わず仲良くまとまっている医師会です。現在、区内外で稼動しております、患者さんの緊急時の病診連携システム「ブルーカード」も、その病診が通じ合う素地から生まれてきました。そして、当会では、昨年11月より、医療と介護の情報共有システム「Aケアカード」を始めました。
 これは、地域包括ケアの整備に向け、ひとりの患者に関わる医療から介護までの関係者が、それぞれの情報(データ)をクラウド上に挙げて共有し、関係者皆で見守り支えていこうというシステムです。今回は、多職種、つまり医師・歯科医師・薬剤師・看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)が連携することになります。しかし、連携するにも、医療と介護は見ている世界が違う、ということも痛感しました。在宅医の先生方は、何を今更、といわれるでしょうが、私はまず介護系とは言語が違うことに戸惑いました。例えば、「患者」は「利用者」、「症例」は「事例」、「(医療)機関」は「事業所」です。医療とは無関係の経歴のケアマネさんも結構おられます。また一方、私達医療者と同じく、その人をよくしてあげたいという強い熱意と使命感を持っておられるケアマネさんも多数おられることも実感しました。
 多職種連携で、お互いの専門分野をぶつけ合っているだけでは得られるものは少ないです。連携とは、「目的の共有」であり、「患者さんをよくするため」という同じ目的に向かって、協同してなにができるか?が大事なのです。
 病診連携、診診連携は、もちろん今後も医師会の主軸であります。一方、地域包括ケアの構築にあたり、医師は、多職種との連携が必要となり、同じ患者(利用者)をみる仲間としてチームで動くためのスキルも重要とされます。そして多職種をまとめ、統率するのはやはり医師であり医師会でなくてはなりません。私も初心にかえり、患者に医療に真摯に向き合う思いを新たにする今日この頃です。

惑ラグビーの話
旭区医師会長 守上 賢策

 2015年にイングランドで行われたラグビーワールドカップでは、エディ・ジョーンズ率いる日本代表が、接戦の末、南アフリカを破るという歴史的快挙を成し遂げた。サモア、アメリカにも勝利し、3勝1敗の好成績であった。2019年、日本で開催されるワールドカップを前にして、日本中、大いに盛り上がった。忍者スタイルのルーティンでゴールキックを狙う五郎丸歩や、ナンバーエイトのリーチ・マイケル、スクラムハーフの田中史朗など各選手の姿がテレビで頻回に放映された。ラグビーを楽しむ私も、日頃サッカー人気に圧倒され、じくじたる思いだったので、少しは溜飲を下げることができた。
 さて、シニアラグビーの話をしたい。シニアラグビーは「惑ラグビー」と呼ばれ、数え年で40歳の不惑の年から、クラブチームに入ることが許される。40歳代は白パンツ、50歳代は紺、60歳代は赤、70歳代は黄、80歳代は紫、90歳代は黄金色のパンツをもらえる。
 私は今年、数え年68歳なので赤パンツ。2年後には黄色の仲間に入り、新人として歓迎される。赤パンツ以上の選手は、足も遅くなり、反射神経も鈍り、スタミナも切れて15分ハーフの試合途中でハーハー、ゼーゼー。ボールをポロリ、空キックもあるが、選手達は真剣そのものだ。ボールを脇に抱え、オリャーと雄たけびを上げながら、敵陣に向かって突っ込んでいく時は最高である。大声を出し合い、太鼓腹をかかえ、白髪を振り乱して、皆が1つのボールを追いかけ、緑の芝生グランドを走り回る姿を想像してみてください。遠征も多く、昨年は金沢、松山、広島、名古屋に行った。早朝から皆が集まり、たった15分×2の試合のために、大型バスに乗り込むが、前夜から心はウキウキしている。ゲーム後のファンクションも楽しい。お互いのチームソングを歌い、杯を上げ、ピンバッジを交換し、自慢話に花が咲く。帰りのバスの中でも宴会は続き、自宅に帰った頃には酩酊状態。ドロドロのジャージを持ち帰り、家内に叱られる。月曜日の外来診療は悲惨なものがある。筋肉痛と全身倦怠のため、患者さんから、「先生、しんどそうですね」と労わられる。最近は体力回復に3日はかかるようになった。

ドローンを活用した災害支援に向けて
住吉区医師会長 畑 直成

 明けまして、おめでとうございます。みなさん正月はどのようにお過ごしでしょうか?私は逆境にめげずドローンを飛ばしています。航空法改正のために飛行制限ができましたが、国土交通省への申請承認と大阪府港湾局、大阪市立大学の許可の下、堺市堺区匠町の多目的グラウンド、大阪市立大学杉本町キャンパス、帝塚山学院大学狭山キャンパスの三カ所にて防災訓練飛行を続けております。また旧年4月より大阪市立大学都市防災教育研究センター(CRED:Center of Education and Research for Disaster)の特別研究員となりました。同年の秋の第3回大阪市立大学都市防災研究シンポジウムでは、「ドローンを活用した災害支援と防災・減災教育への導入に関する研究」を発表し、論文としてまとめました。また、防災士の資格も取りました。防災士はNPO法人日本防災士機構が承認する資格です。自助・共助・協働を原則として社会の防災力アップに努めます。医師会事務局職員にもぜひ取らせたい資格です。今後も府内の市町村の危機管理室と連携の下、ドローンの活用を目指したいとは考えています。しかし、3㎏あるドローンの重量がつらくなりましたので、還暦の年齢ではありますが、筋力トレーニングに励んで少しは若返りできるかなとほくそえんでおります。みなさんも良い新年をお迎えください。

門真市医師会釣りクラブと私
門真市医師会長 谷澤 洋

 明けましておめでとうございます。門真市医師会の谷澤洋です。私は自分の趣味の釣りの話をさせていただきます。私が釣りを始めるきっかけになったのは、勤務医時代に患者さんのお誘いで太刀魚の船釣りをしたのが初めです。淡路島から船に乗り、太刀魚釣りをするのですが、船頭さんも延縄で太刀魚を一緒に釣るものですから、大きなクーラー一杯にお土産をいただきました。和歌山方面、特に加太でのタイ釣りは中ノ瀬での釣りが難しく、タイが釣れた時には凄く嬉しかったものです。その後開業して、1年間ぐらいは全く釣りをする暇もありませんでした。少し落ち着いたときに医師会の理事を拝命し、理事会で隣の外科の先生に公私にわたり優しくご指導や相談に乗っていただき、ある時に釣りの話になり、先生が香住のご出身だったので「目鯛」の話になりました。知らないから写真を見せてとおっしゃったので、写真よりも実物と思い持参したところ、ぜひ釣りたいとのことで、ご一緒に宮津から日本海浦島グリ(漁礁)に釣行しました。
 目鯛は大きい魚で、1匹で飽きるほどの量になります。昔は何匹も釣れましたから、実際に飽きてしまいました。その後、イカ釣りに行って入れ食い状態で爆釣しているうちに、2人では寂しいので、釣りクラブを医師会で作ることになりました。7~8人で始めたのですが、徐々にクラブ員も増えて現在30数名となり、当医師会で最大人数のクラブになりました。クラブとしては年数回の例会と大会が1回、ファミリー釣り大会を数年にl度の頻度で開催しております。ほかにも個人で色々なところに釣行されているようです。
 私も年1回ですが、舞鶴から夏にイカ釣りに出かけます。若い頃は月に1~2回釣行していたのですが、今は年1~2回になってしまいました。夏の土曜日等のお昼から車で2時間半ぐらいで舞鶴に着きます。そこから1時間半ほど船で漁礁まで行き深夜11時半頃まで釣るのです。夕方から普通に五目釣りで甘鯛等を日没まで釣り、いよいよイカ釣りを始めます。イカ釣りは疑似餌ですので、あまり餌などで汚れないのですが、釣れた時にイカが墨を吐くことがあり注意が必要です。私にとって釣りは、釣れなくてもストレス発散になり楽しい趣味になっています。

ヒーリングミュージック
和泉市医師会長 泉谷 良

 新春おめでとうございます。あれこれ公務が増えますと、精神的ストレスも仕事量に比例して溜まりがちになってきます。
 私のストレス解消法は、ライブハウスに出かけ、生の音楽を聞くことです。最近、妻がジャズピアノを習い始めたのがきっかけで、ジャズライブに出かけることが多くなりました。繁々、ミナミやキタのライブハウスに出没しますが、時に東京まで遠征することもあります。一流のミュージシャンと同じ空気を共有する時間は、まさに至福の時であり、日頃の喧騒を忘れさせてくれます。ライブの楽しみは、ミュージシャンと共有している、空気の振動を共に感じることだと思います。
 こんなに音楽にのめり込んだのは、いつの頃からだったでしょうか。「しらけ世代」と言われ、中学生時代はラジオの洋楽ヒットチャートやモダンフォークに夢中でした。ある日、深夜放送でジャックスというバンドの「からっぽの世界」を聴いた時は衝撃的でした。中学生には、難しい不思議な世界でした。グループサウンズでもフォークでもロックでもないオリジナリティを持ったバンドでした。はっぴいえんどのメンバーで、作詞家として有名な松本隆氏も影響を受けたようで、高校生になった頃に、ようやく彼らの音楽性を理解できる様になったのを覚えています。この頃から、ロック、ブルースそしてジャズと色々なジャンルの音楽に魅せられるようになりました。自ら音を出すことにも興味を掻き立てられ、バンドを結成、数年前には天六商店街で路上ライブするなど音楽活動もしてきました。ライブで生の音楽を聴いてると、毎回その瞬間だけの音の素晴らしさに出会うことができます。音楽は、疲れた心を癒してくれ、また明日からの活力も与えてくれます。まだまだ音楽への想いはつきませんが、紙面の都合上、この辺で筆を擱くことにします。
 この原稿執筆中も、傍らから聞こえて来る妻のジャズピアノが、私の精神的ストレスをデトックスしてくれるようになるのは、いつのことになるでしょう。やれやれ。

月で○○○してみたい
守口市医師会長 頼(らい) 將烈(まさゆき)

 新春を迎えるにあたり皆様方の御健勝と御多幸をお祈り申し上げます。
 去年の11月20日に「大阪府医師会ゴルフクラブ(団体戦)」が泉ヶ丘ゴルフクラブで開催されました。26組100名もの会員が集いラウンドされていました。私達守口市医師会も2チーム8名が参加し、他地区の先生方と親睦を深めながら(笑)がんばってラウンドしていました。最近は堺市医師会チームが連覇されており、幹事のお仕事お疲れ様でした。何度も参加していますといつもながらの顔ぶれを見かけ、私は、何だかホッとするような気がします。私は、ゴルフを始めて30年近くになりますが、最近では、もっぱら体力維持・健康増進の目的も加わってきています。いい空気の緑色の世界の中を歩くのはいいものです。できれば、うまくボールをコントロールしてフェアウェイを歩きたいものです(笑)。
 話は変わって、昨年は美しい少し大きめの月が見られた年でした。スーパームーンと呼ばれ、通常の満月よりも約20%明るく、15%大きく見えるとのことでした。「スーパームーン」という用語は、天文学ではなく、占星術に由来するそうですが、天文学的にはその楕円軌道において月が地球に対する近点(近地点)にある月を見ているようです。
 そのような美しいきれいな輝く月を見ながら、ゴルファーが考えることと言ったら(笑)確かあそこでは、重力は地球の6分の1なのですから、ドライバーはすごくよく飛ぶだろうし、アプローチショットやパット、バンカーからのショットやロングショットなどすごくおもしろいショットになり、ゴルフのラウンドはおもしろいだろうなぁと思うのです。
 ということで(笑)、遠くに旅行に行けない私は、初夢の中で月で青く美しい地球に向かってドライバーをブンブン振って参ります(笑)。
 今年もよろしくお願い申し上げます。

代行サービスと在宅医療
大正区医師会長 樫原 秀一

 「代行サービス」という言葉に何を思い浮かべられますか? 運転代行、家事代行、チケット取得代行、子どもの送り迎え、お墓参り代行、雪かき、家具の組立サービス、いろいろあります。
 需要と供給のあるところには代行サービス業が成り立ちます。看取り往診代行サービス、ご存じですか? 建前は「在宅医が学会参加や旅行に行けるように、留守中に代行医師が在宅医療します」というサービスです。
 確かに在宅医は患者さんの急変、看取りに備えて24時間、365日の対応を求められます。大正区でも在宅医療推進事業を実施していますが、在宅医療に取り組む医師はなかなか増えず、取り組んでいる医師の高齢化が進んでいます。だからといって往診代行サービスを利用しなければならないほど切羽詰まっているわけではありません。在宅医療推進事業や医療介護連携推進事業により、病診連携はもとより診診連携、病病連携、多職種連携が充実しています。地域では在宅医をサポートする在宅医メーリングリストや後方支援病院、地域包括ケア病棟を利用できる在宅医療システムが進んでいるので、代行サービスは必要ありません。
 在宅で診させてもらっている患者さんを、割り切って知らない代行医師に依頼する医師がいるのでしょうか。事情を家族に説明していても見ず知らずの代行医師が一見さんで看取りにきた時の家族の心情はいかがなものでしょうか。
・地域医療は地域での結び付き、医師と患者の信頼関係、多職種との連携が基本です。
・在宅医療をビジネスと割り切るスタイルに未来はありません。
・看取りは機械的に行うものではなく、特別な場合を除いては主治医・患者・家族・多職種相互の信頼関係の上に成り立つ尊厳ある行為です。
・臨終の際に『やすらかなお顔ですね』『よく頑張られましたね、ご家族もよくみられましたね』と言えるのはかかりつけ医や連携チームです。

ビールが楽しみ
大淀医師会長 大西 洋子

 父が酒豪だったせいか、私の家にはお酒類がなくなったことはない。亡き父は毎晩キリンビール大瓶1本と燗の日本酒2合が定番であった。毎晩欠かしたことのない晩酌の他、ウイスキーもチビチビ…。父の膝に乗ってビールのラベルの麒麟の絵をよく見ていた。「この麒麟の中に『キリン』の文字が隠れているからさがしてみ」と父から言われ、必死で探したものだ。一昔前、昭和30~40年代はのどかな時代で診察室に灰皿あり、二日酔いでも、朝からぐいっと冷や酒をひっかけて診察室へ…という父の姿を見て育った。今の若い先生方には顰蹙を買うだろうが、「町医吾れ、風邪寝一夜も許されず」と俳句を詠んでいた父の忙しい時代、今のように娯楽も少なく国を挙げてひとつの方向に向かっていた時代を「いい時代だったなー」と感じるのは私だけだろうか?
 そんな父のもとで育った私が、仕事を終えて、すぐ「いただきます」とご飯が喉を通るわけがない。患者さん相手にマシンガンのように喋りまくって、やれやれ仕事が終わりホッとしたカラカラの喉をご飯は通りません。冷蔵庫にはいつもビールを冷やしている。夕方からはあまりお茶も飲まず、渇いた喉を1杯目のビールが通ることだけを楽しみに、一心不乱に仕事に励んでいる。「喉で飲む」とは当にこういうことだろうと感じる。よく、夜診が終わってスタッフと一緒に近所の居酒屋や焼き鳥屋さんに繰り出すが、最初のビールの美味しいこと! スタッフからは「えー、もう飲んじゃったんですか?」とびっくりされる。「このジョッキ、穴があいとってん」と言いながら、2杯目おかわり。あとは、最近はハイボールにしているが、日本酒でもワインでもお付き合いするし、紹興酒も大好きである。しかし、一番好きなのはやはりビールだろうか。とにかく、暑くても寒くても最初はビール! 新年おめでとうございます!カンパーイ! 孫と一緒に飲める日を楽しみにしている。