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府医ニュース
2016年12月28日 第2806号
大阪府医師会・大阪府・大阪市主催による平成28年度「主治医意見書作成に関する説明会」が10月29日午後、府医会館で行われた。高齢化の進展により介護保険受給者の更なる増加が予想され、主治医意見書作成の重要性は一層高まる。こうした状況の中、約200人の会員が研鑽。改めて意見書作成に関する意識を高めた。
黒田研二氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員長)が司会・座長を務め、最初に加納康至副会長があいさつ。介護認定においては、主治医意見書が非常に重要な書類である一方、記載上の不備や提出遅延によって申請者の認定が遅れ、「不都合が生じるケースが見受けられる」と指摘し、適切な記載を促した。また、30年度には「保健医療計画・介護保険事業(支援)計画の策定」「診療報酬・介護報酬の同時改定」などが予定されているが、府医は「国民皆保険制度の堅持」を念頭に活動を継続するとして、一層の支援・協力を求めた。
引き続き、鹿島洋一氏(同委員会委員/新仁会病院長)が、「主治医意見書記入の留意点」と題して講演した。まず、介護保険認定審査会における二次判定までの経緯を説明。「要支援2」「要介護1」の判定基準を詳しく述べるとともに、「当該判断は主治医意見書が重視される」と強調し、症状の不安定性を確認した場合には、病勢を具体的に記載するよう促した。そのほか▽障害高齢者の日常生活自立度▽心身の状態に関する意見▽特記すべき事項――などについて、具体例を交えて記載方法を説示した。更に、介護認定審査委員へのアンケートを紹介。審査委員が重視する項目の上位は主治医意見書であることや、審査委員が求める記載上の要望などを伝えた。その上で、主治医意見書の重要性を重ねて訴え、適切な記載・提出期限の順守を要請した。
池永裕典氏(大阪府福祉部高齢介護室介護支援課利用者支援グループ課長補佐)は「介護保険制度における主治医意見書の役割」として、今後の展開を解説。27年度の介護保険制度改正により主治医意見書が1.総合事業における介護予防ケアマネジメント、2.地域ケア会議における個別事例の検討、3.特別養護老人ホーム等における特例入所の判断――などにも広がるとした。
岩﨑由香氏(大阪市福祉局高齢者施策部介護保険課認定グループ担当係長)は、「要介護認定における審査判定について」と題し、要介護認定までの流れを説明。一次判定を修正する際には、主治医意見書の記載内容が確認されるが、特記事項に具体的な記載がなければ「一次判定通りになる」と注意を喚起。適切な介護認定に向けても、主治医意見書の記載は大切とし、一層の協力を求めた。