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医師・医療関係者のみなさまへ

小児初期救急の要点を講演

府医ニュース

2016年12月21日 第2805号

平成28年度小児救急医療研修会

 大阪府医師会は10月27日午後、平成28年度第1回小児救急医療研修会を府医会館で開催した(後援:大阪小児科医会)。本研修会は小児科医不足に対応し、夜間休日・急病診療所において、より円滑な診療体制の維持を目的に実施。昨年度より再開されている。
 開会にあたり、大阪小児科医会を代表し武知哲久会長があいさつ。安心して子育てができる環境を構築する上で、小児救急医療の確保・充実の重要性を強調し、本研修会を通じて小児医療の質が高まればと期待を込めた。
 引き続き、松下享氏(松下こどもクリニック院長)が座長を務め、橋爪孝雄氏(堺市こども急病診療センター長)が登壇。「小児初期救急の要点」と題して講演を行った。小児救急疾患は軽症から中等度の一般疾患が多いが、その中で緊急を要する重症専門疾患を見逃さないこと、トリアージの必要性を指摘した。初期診断の際、第一印象で「何となくおかしい」と感じることが大切であるとし、PAT(小児アセスメントトライアングル)を取り上げた。「外観上の判断」「呼吸」「皮膚への循環」から子どもの様子を評価した上で、バイタルサインを確認し、トリアージにつなげてほしいとした。その後、川崎病、細菌感染症、腸重積などについて、症状や診断のポイントを詳しく説明した。
 また、橋爪氏は保護者への対応にも言及。発熱で受診しても、実際には脱水症状の処置が必要な場合など、保護者と医療者側の見解が一致するとは限らないと前置き。一方で、保護者の意見に医療者側が耳を傾けるよう努めることが、クレーム防止にもつながるとした。最後に児童虐待の現状について紹介。子どもの体や行動、保護者の様子から、「虐待を疑わせるサイン」がないか把握してほしいと呼びかけた。
 なお、本研修会は「『小児の消化器系疾患』『呼吸器系疾患』への対応」(11月10日)、「『小児の主な感染症』『発熱、ケイレン』への対応」(12月7日)をテーマに、28年度も3回の講演が実施された。