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府医ニュース
2016年12月21日 第2805号
厚生労働省は、10月4日の閣議で「平成28年度版厚生労働白書」(平成27年度厚生労働行政年次報告)を報告、公表した。同白書は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的に平成13年度から毎年とりまとめている。今年は、「人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える」をテーマとしている。
我が国の高齢化率は、戦後の1950年時点では5%に満たず、80年代までは主要国では最低水準であったが、その後は急速に進展して05年には最も高い水準となり、15年には26.7%へと急上昇した。他の主要国と異なり、日本の高齢化は「短期間での急速な進展」が特徴である。日本の高齢者対策は今後、急速に進展する見込みのアジア諸国から先進モデルとして注目される。白書によると、東京、大阪などの大都市部での高齢者人口は今後も急激に増加する一方、人口5万人未満の都市では20年をピークに減少していくものと予測されている。
「高齢期の一人暮らし」は、8割超が不安を感じており、一人暮らしの際に期待するサービスとして、▽通院・買い物等の外出の手伝い(51.1%)▽急病などの緊急時の支援(37.8%)▽洗濯・掃除などの家事支援(37.5%)――と続いた。高齢期に生活したい場所は「自宅」(72.2%)が最も多く、次に高齢者向けバリアフリー住宅やサービス付き高齢者向け住宅など(8.7%)が多かった。
少子高齢化を反映し、日本の高齢者の就業率は国際的に高く、男性60~64歳で74.3%、65歳以上で29.3%となっている。65歳以上の労働力人口は増加し続けており、15年には744万人で労働力人口総数に占める構成割合は11.3%、70年の4.5%から約2.5倍に増加している。16年の法改正で、65歳以降に新たに雇用された者も雇用保険の適用対象となったことや、シルバー人材センターの就業時間の要件緩和等が可能になったことなどもあり、「定年後も働けるうちはいつまでも働きたい」と考える人が多く(65歳以降の合計約66%)、労働力人口構成においても高齢化の傾向が顕著である。働く意欲のある高齢者が、長年培ってきた知識や経験をいかし、年齢に関わりなく活躍し続けることができる「生涯現役社会」を実現することは、高齢者自身の健康や生きがいにもつながることから、高齢者就労促進施策はますます重要になってくると考えられている。
日本人の健康寿命は、男性71.19歳、女性74.21歳と平均寿命とともに世界最高水準である(13年)。自分が高齢者と思う年齢は、70歳以上が最も多く健康寿命と近い。日本の高齢者対策は確実に推進されているが、一方の少子化対策、更に既に始まった人口減少時代への対応も求められている。