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時事

国民健康・栄養調査が公表

府医ニュース

2016年11月30日 第2803号

日本人の食・栄養の道のりも

 11月14日、厚生労働省から、平成27年「国民健康・栄養調査」の結果が公表された。この調査は健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康増進の総合的な推進を図るために、毎年実施されている。今回の調査対象は、層化無作為抽出した300単位区内のすべての世帯および世帯員で、調査実施世帯数3507、集計客対数6655となっている。
 今年の重点項目である「社会環境の実態とニーズの状況」について主な結果を見ると、▽栄養バランスのとれた食事:主食・主菜・副菜を組み合わせた食事は、若い世代ほど食べられていない傾向にあり、この世代は、外食や中食の利用割合が高い。特に20~30歳代の女性では、たんぱく質、カルシウム、食物繊維およびカリウムなどの摂取量が、60歳以上に比べて少ない傾向。▽適正な休養の確保:睡眠の妨げとなっていることは、20~50歳代男性では「仕事」が最も高く、31.6~40.5%。20歳代女性では「就寝前の携帯電話、メール、ゲームなど」が33.3%と最も高く、30歳代女性では「育児」が32.7%、40歳代女性では「家事」が27.9%と最も高い。▽受動喫煙:場所別にみると、「飲食店」が41.4%と最も高く、「遊技場」33.4%、「職場」30.9%と続く。受動喫煙防止対策の推進を望む場所は「飲食店」が35.0%と最も高く、次いで「路上」が34.8%、「子どもが利用する屋外の空間(公園、通学路など)」が28.2%。▽地域のつながり:居住する地域の人々が「お互いに助け合っている」と思う者の割合は55.9%で、前回調査(23年)と比較して約5ポイント増加。また、居住する地域の人々を「信頼できる」と思う者の割合は55.7%、「お互いにあいさつをしている」と思う者の割合は82.0%――となっている。
 毎年実施されている基本項目の結果を一部紹介すると、▽食塩摂取量の平均値は10.0g(男性 11.0g、女性 9.2g)、▽歩数の平均値は男性7194歩、女性6227歩、▽生活習慣病のリスクを高める飲酒量(清酒換算で男性2合以上、女性1合以上)の割合は、男性 13.9%、女性 8.1%、▽現在習慣的に喫煙している者の割合は、18.2%(男性 30.1%、女性 7.9%)となっている。
 ちなみに、この調査の前身の国民栄養調査は、戦後の貧困状態にあった昭和20年に、海外からの食糧援助を受けるための基礎資料を得る目的で、連合国軍司令部(GHQ)の指令で実施された調査に端を発している。国立・健康栄養研究所の「国民栄養の現状」のホームページで、昭和22年から毎年の調査結果が掲載されており、歴史を振り返るのもたいへん興味深い。(学)