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時事

保険診療データの山が導くもの

府医ニュース

2016年10月26日 第2800号

NDBオープンデータが公表

 10月12日、厚生労働省から「第1回NDBオープンデータ」が公表された。これは「高齢者の医療の確保に関する法律」を根拠に、平成21年から構築が開始された「レセプト情報・特定健診等情報データベース(ナショナルデータベース:NDB)」に蓄積されたレセプト情報および特定健診情報を抽出し、一定のルール下で処理を行ったものである。
 第1部「解説編」、第2部「データ編」からなり、後者は Excel 形式の集計表でダウンロードすることができる(厚生労働省ウェブサイト http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)。
 23年度以降、医療費適正化計画策定に資する目的以外での、第三者のデータ利用が認められ、利用者に対して高いレベルのセキュリティ要件を課した上で、データ提供が行われてきた。一方で、多くの研究者が必ずしも詳細な個票データを必要とするわけではないため、厚生労働省「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」等での議論を経て、多く
の人々がデータに基づいた知見に接することができるよう、基礎的な集計表を作成し公表することとなっていた。データにより、医療の提供実態や特定健診等の結果を分かりやすく示すことを目的としている。
 今回公表されたのは、26年度診療分の「医科診療報酬点数表項目」「歯科傷病」「薬剤データ」および25年度実施分の「特定健診集計結果」である。公表項目は「医科」においては、A:初・再診料、入院基本料、入院基本料等加算、特定入院料、短期滞在手術基本料、B:医学管理等、C:在宅医療、D:検査、E:画像診断、 H:リハビリテーション、I:精神科専門療法、J:処置、K:手術、L:麻酔、M:放射線治療、N:病理診断、「薬剤」については、内服、外用、注射のそれぞれについて、外来院内、外来院外、入院ごとに、薬価収載の基準単位に基づき、薬効別に処方数の上位30位を紹介している。
 形式は、原則として「都道府県別」と「性・年齢階級別」の集計表、および「都道府県別」のグラフとなっている。
 また、個人が特定されることを防ぐため「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の最小集計単位についての原則(患者数が10未満になる集計単位が含まれていないことなど)を遵守するとともに、本データの特性に応じた配慮を加えた対応となっている。
 上記の有識者会議では、既に第2回(27年度レセプトおよび26年度特定健診)公表に向けての準備作業が始まっており、今年度中に意見・要望の募集を行い、それを反映させて集計表を作成、来年度に実施する計画となっている。
 さて、これらの膨大なデータ戦略を制する者は、誰になるのか――。(学)