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医師・医療関係者のみなさまへ

学校園教職員へのストレスチェックのポイントを解説

府医ニュース

2016年8月31日 第2794号

大阪市立学校園『産業医講習会』

 平成28年度大阪市立学校園『産業医講習会』が7月23日午後、大阪府医師会館で開催された。本講習会は、27年12月より施行されたストレスチェック制度の大阪市教育委員会での実施にかかるポイントを中心に解説がなされ、大阪市内の学校産業医約140人が参加した。

メンタルの不調を防ぐ一次予防が目的

 冒頭、黒野大輔氏(大阪市教育委員会事務局教職員給与・厚生担当課長)はあいさつで、日頃の学校園における教職員への健康管理や保健活動への協力に謝意を表した。また、学校園を取り巻く課題が多様化する中、ストレスチェック制度を通して、教職員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ一次予防への協力を依頼した。
 講習会は益田元子・府医理事が座長を務め進行。まず、「ストレスチェック制度施行後の産業医の役割について」と題して、岡田邦夫氏(プール学院大学教育学部教授/大阪ガス㈱統括産業医)が講演を行った。岡田氏は、ストレスチェックの趣旨は職場環境の改善と個人のストレスの軽減であり、それらを原因とするメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」が目的であると強調。その上で、高ストレス者の申し出により医師が面接指導を行うことによって、心身の状態を確認し、必要に応じて専門医につなげてほしいとした。更に、面接指導の報告書・意見書記載の注意点や職場環境などの改善を通したストレス対策、現場管理監督者の対応のポイントを列挙し、それぞれに解説を加えた。最後に岡田氏は、人間関係が良好な職場ではストレスが少ない傾向にあると言及。ストレスチェックの結果を生かして職場環境の改善に務めるよう、産業医がファシリテーター役を担い、教職員の相談に応じてほしいと締めくくった。
 続いて、栗原敏修氏(大阪市教育委員会事務局医務主幹・統括産業医)が「ストレスチェック制度における面接指導」について説明。ストレスチェック実施から学校産業医が高ストレス者の面接指導を行うまでの流れを示した。栗原氏は面接指導に関し、「うつ病などの診断を行うものでなく、専門医療機関への受診の要否を判定するに留めてほしい」と要請。更に、個人情報の取り扱いに注意を促し、校園長に報告した方がよい内容については必ず本人の同意を得るよう呼びかけた。