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時事

審査の効率化・統一化の推進について

府医ニュース

2016年8月17日 第2793号

第4回有識者検討会開催

 厚生労働省は7月8日に「第4回データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」を開催した。議題4「当面の検討事項の整理について」では、座長提出資料として「整理(案)」が示された。本格的なICT時代の到来を踏まえ、ICT・ビッグデータを活用した保険者機能強化と医療の質の向上のための新たなサービスや、ICTの活用による審査業務の一層の効率化・統一化の推進等について、議論を進めてきた。これまでの議論を踏まえ、以下の事項に関して、当面検討することを提案した。
 検討事項(1)「審査の効率化と審査における不合理な差異の解消について」においては、1.審査事務の効率化を推進するため、どのような方法が考えられるか2.審査における不合理な差異(審査支払機関間、地域間の審査の差異)をどのように解消していくべきか。換言すれば、ICTを活用した審査基準の統一化を具体的にどう進めていくか3.審査の効率化や質の向上を図る観点から支払基金と国保連のレセプトデータの連携等についてどう考えるかなどが示された。
 検討事項(2)「医療・介護のサービスの質を高めるためのデータ活用について」においては、1.保険者機能の推進2.地域包括ケア推進のため、具体的にどのように審査支払機関等のデータを活用することが考えられるか3.データの活用を進める上で、審査支払機関はどのような役割を担うべきか4.その他、データ活用を進める上で、どのようの課題があるかなどが示された。
 これらの事項の検討を進めるに当たって、(1)(2)それぞれが、検討会の構成員からなるワーキンググループ(WG)を設置し、具体的な方策に関して集中的に検討を進める。その上で、秋以降、WGの検討結果を踏まえ、データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けて、具体的な組織・体制も含め、審査支払機関の在り方について検討を進めることが提案された。
 なお、検討会では、各都道府県で支払基金系統と国保連合会系統の審査基準があり(94通り)、プラス全国レベルでも基準を持っており、その内容は必ずしも透明ではないとの指摘があった。両機関、地域間における審査基準のすり合わせが必要とのことであるが、それぞれの審査支払機関内で審査担当者による差異が存在する点も解決すべき課題である。一方、地域の特性や医療機関の特性に配慮したきめ細やかな審査が個々の患者の適切な医療の確保につながる。全国統一的、明確的な判断基準を策定することは、医療を画一化させる可能性があり、極めて慎重に議論すべきとの意見は傾聴に値する。
 今後の有識者検討会を注視するとともに、検討会のメンバーである松原謙二・日本医師会副会長のご活躍に期待したい。(中)