
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2016年5月25日 第2785号
◆食べ物の取り合いをする2匹の猫が、公平に分けるフリをした狐に、まんまと全部を食べられてしまう、『ずるい狐』というイソップ寓話がある。「fox」には、英語で「ずる賢い」という意味もある。
◆合法とはいえ倫理観に乏しい最近の話もその類である。世界中の政治家や富裕層、グローバル企業の税逃れのためのタックスヘイブン問題に、都知事のずれた公金感覚と、真面目な納税者からすれば、いかにもずる賢い話である。倫理はおざなり、法さえ守ればである。トップリーダー達の不平等を正当化できる仕組みが恨めしい。
◆医療ももちろん、法の下にあるが、常に倫理の上に成り立つ。倫理による自浄作用と、平等な公的医療保険制度で信頼が保たれている。残念ながら、時にそれを軽んじる医療事故や不正行為で、社会不信を招くこともある。
◆倫理と法の間に「ずる賢い」がある。医療人に求められるように、トップリーダーであればあるほど、法より前に先ず倫理を重んじ、義務を平等に果たさなければ、不信の渦は収まらない。(誠)