
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
本日休診
府医ニュース
2016年3月30日 第2779号
前回、先輩医師が人材派遣業に登録したという内容を書いたが、正確には「人材紹介業」に登録したと訂正させていただく。看護師、医師の専門職を医療機関に人材派遣することは原則禁じられている。医局から地方病院に医師が「派遣」されるのと似た意味で、派遣という言葉を使ってしまった。間接的にご指摘いただいた読者には感謝申し上げる。ただ、人材派遣会社と関係のある企業が、医療専門職の紹介、斡旋をしていることは事実である。
私は新自由主義的な労働規制緩和によって、おおっぴらに医師や看護師の人材派遣が認められるのではないかという危惧を強く持っている。その流れは次の参議院議員選挙の後に本格化すると予想する。TPPやTiSA、そして、地域包括ケア推進とからめて、誰もが反論しがたいロジックで法案提出の下地が出てくるだろう。シリーズ(1)「所有と経営の分離」(3)「低賃金と非正規化」で書いたが、医療機関の株式会社の進出が認められれば、(彼らにとって)高賃金である医療の専門職に対する非正規化、つまり人材派遣化への圧力が強くなることは明らかである。医局制度の見直しの結果生じた医師派遣機能の低下はその流れにあると私はみている。
我々は賃金のためだけに働いているのではない。しかし、分業化、効率化が現場で進むと結果として低賃金圧力が加わり仕事は増えども賃金が抑えられる。その結果、職業人としてのプライドの喪失など数字に見えない弊害が出てくるであろう。目の前の問題に対応するということであっても、営利的な考えが裏に潜むキレイ事を警戒しなければならない。今から書いておくが、人材派遣への規制緩和が進められるとき、おそらく賃金のことがやり玉にあげられるだろう。看護師の労働規制緩和が出てきた時、次は医師の番であると覚悟しなくてはならない。「正規雇用は既得権益である」という民間議員がいるくらいだから。(真)