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郡市区等医師会長協議会で伯井会長

府医ニュース

2016年3月16日 第2778号

患者中心の医療 実現に向け注視

 2月度郡市区等医師会長協議会が2月26日午後、大阪府医師会館で開催された。当日は2件の連絡事項に加えて、松原謙二・日本医師会副会長より、診療報酬改定を中心に中央情勢に関する報告がなされた。

白熱した中医協「診療報酬改定」議論を振り返りながら概要を解説

 開会にあたり、伯井俊明会長があいさつ。平成28年度診療報酬改定で位置付けられた在宅医療専門診療所については、地域包括ケアシステムの構築を支えるものとなるのか、検証の必要性を示唆した。また、地域医療構想の策定により、「医療の見える化」が一層進められ、地域医療構想と整合する医療費目標の設定も検討されていると指摘。患者を中心とした医療提供体制の実現に向けて注視したいと述べた。新たな専門医制度については、社会保障審議会医療部会(2月18日開催)で、地域医療の崩壊を危惧する意見が続出し、開始時期を含めて再検討することになったと紹介。制度の理念には理解を示す一方、医師の偏在など地域医療への影響が懸念されるとして、施行にあたっては慎重を期すよう求めた。
 最後に伯井会長は、2月23日開催の第49回定例理事会の席上、今期限りでの退任を表明したと報告。執行部運営への多大な理解・協力に改めて謝意を示すとともに、茂松茂人副会長に後継したいとの意向を示した。
 松原・日医副会長は昨秋、中医協診療側委員に再任され、医師の立場から28年度診療報酬改定の議論を牽引した。この日は中医協での白熱した交渉に触れつつ、診療報酬改定の概要を解説した。本体0・49%増、薬価材料1・33%減の計0・84%減のほか、市場拡大再算定ルールにより、新たなC型肝炎治療薬など年間販売額が極めて大きい品目に対する特例実施が導入されると報告した。
 続いて、医療機能の分化・強化に関して説明した。このうち、「在宅医療専門の医療機関に関する評価」では、外来を持たない以上、協力医療機関を有することが必要である旨を主張したと述懐。開設要件に、「地域医師会からの協力の同意を得ている」「協力医療機関を2カ所以上確保している」などを盛り込んだと強調した。ICT活用の項目では、診療情報提供書の電子的な送受に評価がなされるため、電子署名の裏付けとして医師資格証が普及するのではないかと見通した。
 また、医薬品の適正使用についても詳説。医師が処方する投薬量は「予見可能な期間」とされている。このため、長期投薬に際して、「患者の病状が安定し、服薬管理が可能と医師が確認すること」「病状が安定した時の対応等を患者に周知すること」が求められるとした。また、これらを満たさない場合は、「30日以内の再診」「200床以上の医療機関では、200床未満の医療機関または診療所への文書による紹介の申し出」「服薬管理が難しい場合には分割指示処方箋の交付」――のいずれかで対応すると述べた。松原・日医副会長は「長期処方は好ましくない」との私見を示すとともに、病状安定後の逆紹介により、医療機能の分化が促される仕組みづくりに踏み出したと評価した。最後に、「限られた財源の中で、安心安全の医療が提供されるよう努めた」と総括。今後の日医の活動に対し、一層の理解と協力を要請した。