
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2016年2月3日 第2774号
大阪府医師会は平成27年12月3日午後、府医会館で27年度HIV医療研修会を開催した。
冒頭、宮川松剛理事があいさつ。各会員医療機関に実施したHIVに関するアンケート調査への協力に謝意を示すとともに、年度内に調査結果をまとめ、再度研修会を実施し、報告したいと述べた。また、大阪におけるHIV感染者は増加傾向にあり、若年層の感染者が減少しない中、医療関係者のみならず社会全体で考えていくべき問題であると報告。本研修会が日常診療の一助になるよう期待を寄せた。
研修会は、中浜力氏(感染症対策・予防接種問題検討委員会委員)が司会を務め、まず、白阪琢磨氏(大阪医療センター臨床研究センターエイズ先端医療研究部長)が、「近畿ブロック拠点病院でのHIV診療の現状」と題して講演を行った。白阪氏は、HIVとAIDSの違いを明確に患者に説明してほしいと呼び掛けるとともに、治療法が大きく進歩したことで、高血圧や糖尿病と同様の慢性疾患と呼べるまでになったと述べた。また、内服薬も1日1錠でよく、副作用も少なくなっていると説述した。更に、白阪氏は大阪の感染状況に言及。新規感染者が年間200人程度報告されており、更なる予防啓発の重要性を指摘した。
続いて、「標準予防策の基本とHIV感染予防対策について」と題して、上平朝子氏(大阪医療センター感染症内科長/感染制御部副部長)が講演。HIV感染対策のみならず、すべての感染症対策において、標準予防策は基本であり、正しい知識と実践する姿勢、信念による遵守が大切であると力を込め、▽手指衛生▽個人防護具▽周囲環境対策▽患者配置▽咳エチケット▽注射器、注射針の再使用の禁止▽特別な腰椎穿刺時のマスク着用――についてそれぞれ詳述した。また、職務感染予防策を伝え、特にリスクの高い針刺し事故等には十分注意が必要とし、暴露後の対応について解説を加えた。