TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

災害・外傷初期診療研修を実施

府医ニュース

2015年10月28日 第2764号

平成27年度第1回(通算22回)

 大阪府医師会では、災害発生時に医療従事者が効率的に初期対応を行えるよう、医師・看護師を対象に「災害・外傷初期診療研修」を開催している。本研修会は、外傷初期診療の知識や診療技術などのポイントを1日で習得できる構成となっており、今年度第1回の研修会(通算22回目)を9月20日に実施。30人が受講した。
 はじめに、林靖之氏(府医救急・災害医療部三次救急委員会災害・外傷初期診療研修検討ワーキンググループ委員長/済生会千里病院千里救命救急センター副センター長)が本研修会および、外傷初期診療の概要を説明した。大規模災害発生などの緊急時には、日常診療で外傷患者に接する機会が少ない医療機関においても外傷患者に対応する必要があると言及。外傷診療では限られた時間の中で、誰もが同じように診察、処置が行えることが重要であり、定型的な患者へのアプローチを学ぶ必要性を強調した。
 その上で、本研修では外傷初期診療ガイドラインにある、生命維持のための対処「プライマリサーベイ」に着目し、「気管挿管・外科的気道確保(Airway)」「胸部読影・胸腔ドレナージ(Breathing)」「初期輸液・骨髄輸液・骨盤読影(Circulation)」「頭部外傷・GCS(Dysfunction of CNS)」「バックボード管理(Exposure・Environment)」の頭文字をとったABCDEアプローチに「F」(FAST/家族対応)を加えた6つのスキルブースで研修を進めていくとした。
 引き続き、実技研修を実施。医師2人と看護師4人が1グループとなり、ABCDEアプローチおよびFAST/家族対応―それぞれに異常が見つかった際の対応を学んだ。
 午後からは、まず、上尾光弘氏(同ワーキンググループ委員/大阪医療センター救命救急センター医長)が災害・トリアージについて講義。トリアージの判断基準を解説するとともに、多数の傷病者の中から最優先治療群である「赤タグ」を見付け出すことが目的であると述べた。このほか、傷病者の状況は常に変化するため、何度もトリアージを行うことが重要であると指摘した。その後、シナリオステーション(実際の医療現場を想定した模擬訓練)が展開され、外傷診療用のモデル人形を用いて、患者の状態や各状況に応じた救命処置を研修。災害発生などによる外傷初期診療に備えた。