
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2015年10月28日 第2764号
大阪府医師会産業医部会(部会長=茂松茂人・府医副会長)は、昭和50年6月に発足し、今年で設立40周年を迎えた。これを記念し、9月19日午後、府医会館で記念式典と講演および祝賀会が開催された。
式典は、益田元子・同部会副部会長(府医理事)が司会を務めた。冒頭、伯井俊明会長があいさつ。労働者の健康保持に貢献してきた部会員らに敬意を表した。また、近年は労働者を取り巻く環境が大きく変化しており、従来の職業性疾病に加え、メンタルヘルス対策も求められていると指摘。部会員らが更なる研鑽を積みながら、関係団体との連携強化が図られるよう期待した。一方で、患者申出療養や医療ツーリズムなどについても言及。国民皆保険制度の根幹を揺るがしかねないとして警鐘を鳴らすとともに、来年の参議院議員選挙では、医療関係者が一体となり、医療界の存在感を示すことが必要と述べた。
次いで、阿部源三郎・同部会元参与が「大阪府医師会産業医部会40年のあゆみ」と題して同部会の歴史を振り返った。阿部氏は、高度経済成長時における労働衛生問題への関心の高まりを背景に、産業保健に携わる医師の組織化が求められるようになったと述懐。専門部会の設立を検討するための会合のほか、府医役員が労働基準局関係者らとの協議を重ね、昭和50年2月25日開催の第143回府医臨時代議員会で「産業医部会」の規約が承認され、同年6月に設立に至ったとの経緯が語られた。
続いて、部会の発展に寄与してきた在任10年以上の現職役員らに伯井会長より感謝状が贈呈された(別掲)。来賓祝辞では、横倉義武・日本医師会長の代理として今村聡・日医副会長が登壇。産業保健活動の推進は、労働者の健康保持・増進につながり、我が国の持続可能な社会保障制度の構築に大きく貢献するとして、今後の発展に期待を込めた。また、ストレスチェック制度の開始など、産業医の役割はますます高まるとし、産業医が活動に専念できる環境整備に尽力したいと語った。更に、「医療従事者が医療を守り、いかに国民の健康づくりに関与するかが問われている」として、地域に密着した保健医療活動を通じ、予防医学を中心とした地域医療の提供が一層重要になると見通した。大阪府知事、大阪労働局長、大阪労働基準連合会長(いずれも代読)からも祝辞が寄せられたほか、被表彰者を代表して井波静孝氏(同部会顧問)が謝辞を述べた。
この後の記念講演では、渡辺洋一郎氏(日本精神神経科診療所協会長/日本精神科産業医協会共同代表理事)が「ストレスチェック制度について」と題して、同制度の概要を詳しく解説。適切に実施され、有効に活用できれば、労働者のメンタルヘルス向上に加えて企業の発展につながると指摘し、産業医に求められる役割の重要度は大きく増すとの考えを示した。引き続き、圓藤吟史・同部会副部会長は「科学物質のリスクアセスメントについて」をテーマに、産業保健の歴史や労働災害の実例を紹介。企業に労働衛生対策を確立させることの必要性を説いた。
編注
感謝状が贈呈された井波静孝先生におかれましては10月19日、北田正治先生におかれましては9月7日に逝去されました。これまでのご功績をたたえるとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
在籍30年以上 井波 静孝(31年)
在籍10年以上 岡田 章(19年)
山田 義夫(19年)
北田 正治(18年)
本出 肇(15年)
徳永 力雄(15年)
圓藤 吟史(15年)
藤森 次勝(13年)
鍵本 伸明(11年)
(敬称略/カッコ内は在籍年数)