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時事

「健康サポート薬局」誕生へ

府医ニュース

2015年10月21日 第2763号

地域包括ケアの中で見直される役割分担

 9月24日、厚生労働省「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」報告書が公表された。この検討会は、日本再興戦略(平成25年6月閣議決定)において、薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進が盛り込まれたことを受け、健康情報拠点としてふさわしい薬局の定義・名称、基準の策定、公表の仕組みの検討を目的に、今年6月に立ち上げられていた(座長:西島正弘・昭和薬科大学長)。来春には「薬局機能情報提供制度」の中で公表する方針とされている。
 名称は発足時点では「健康情報拠点薬局(仮称)」であったが、途中で「健康づくり支援薬局(仮称)」に変更、取りまとめ議論の段階では合意できず座長一任となり、最終的に「健康サポート薬局」となった。
 健康サポート薬局には、安心して立ち寄りやすい身近な存在として、地域包括ケアシステムの中で多職種と連携し、地域住民の相談役としての役割を果たすことが求められるという。1.かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を備えた上で、2.地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局とされる。
 1.の機能には、(1)服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導、(2)24時間対応、在宅対応、(3)かかりつけ医を始めとした関係機関等との連携強化を挙げ、各々に具体的な要件を規定した。
 そして②には、(ア)地域における連携体制の構築 (医療機関への受診勧奨やその他の関係機関への紹介、地域の行政や医師会等が実施・協力する健康の維持・増進のための各種事業への積極的参加)、(イ)薬剤師の資質確保(研修を修了し試験等で一定の到達度を確認した薬剤師の常駐)、(ウ)設備(パーテーションで区切るなど個人情報への配慮)、(エ)表示(健康サポート機能を有すること及びその具体的内容)、(オ)要指導医薬品等、衛生材料、介護用品の取扱い、(カ)開局時間(平日に一定時間以上連続、土日どちらかにも一定時間開局)、(キ)健康の維持・増進に関する相談対応と記録の作成――を重要項目として挙げ、要件を記載した。
 検討会で結論が出ず、名称同様座長預かりとなった問題に「要指導医薬品等(OTC)」の取扱いがある。途中の議論で厚労省から〝一般用医薬品等を原則として中分類につき2銘柄以上〟との要件案が示されたこともあったが、報告書では具体的な品目数などは盛り込まず「利用者自らが適切に選択できるよう供給機能や助言の体制を有し」「基本的な薬効群を原則としつつ、地域の実情に応じて供給する」とされ「かかりつけ医との適切な連携や受診の妨げとならないよう、相談を受けた場合の受診勧奨の基準を遵守するなど、適正な運営」を行うことを求めた。
 確かにかかりつけ医は、身近な診療所を目指してどんなに努力しても、住民が診療以外で気軽に訪れる場にすることは現行制度では難しい。地域包括ケア時代の、医療職の新し連携の中でどのような役割を担うべきか、後手に回らずに考えたい。(学)