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西淀川区医師会多職種連携のための講演会

府医ニュース

2015年9月2日 第2759号

中尾・府医副会長が地域包括ケアについて講演

 西淀川区医師会(福田弥一郎会長)は、「西淀川区医師会多職種連携のための講演会」を7月29日、同区医師会館で開催。関係者ら80人が参集した。当日は中尾正俊・大阪府医師会副会長が、「大阪府医師会が進める――地域包括ケア・在宅医療への取り組み」と題して講演を行った。
 福田・同区医師会長は開会のあいさつで、少子高齢化に伴う今後の緊縮財政策に懸念を示す一方、医療・介護分野が協力して課題に対応することが重要と言及。本講演会が西淀川区における多職種連携への理解を深めるきっかけになればと期待を寄せた。
 登壇した中尾・府医副会長は、大阪府在宅医療連携拠点支援事業など、大阪における地域包括ケアシステム構築の今日までの経緯を解説。まず、課題として地域の医療・介護資源を把握し、より緊密な多職種間の連携を挙げた。その上で、地区医師会が市町村に設置されている地域包括支援センターや保健所、介護関係諸機関などと連携を図り、在宅医療・介護の一体的な提供を可能とする「点から面への展開」を進める必要があると訴えた。
 また、医療職と介護職が連携を目指す上で、介護側には医療側と一体となった支援を意識する「医療的マインド」を持って現場に臨むとともに、医療側との情報共有を求めた。医療職には、介護側から提供された情報を基に、「生活を支える視点」から、臨床経過の予測などを介護側に伝えてほしいと述べた。
 更に、府内の医師会に順次配置されている「在宅医療コーディネータ」の役割を紹介。▽地域の医療資源を継続的に把握▽患者の受診動向の把握▽地域の医療機関に対して在宅医療への参入の勧誘▽医療関係者や地元行政への情報提供――などの活動を通じ、訪問診療や看取りの実績がある診療所を増やすことで「在宅医療の充実」を目指しているとした。そして、将来的には府内すべての郡市区医師会にコーディネータを配置し、府民が安心して在宅医療を受けられる体制を構築したいと述べ、各職種の連携は重要だと改めて語った。