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医師・医療関係者のみなさまへ

時事

在宅医療の提供体制・提供状況Ⅱ
――訪問看護について

府医ニュース

2015年5月27日 第2749号

 中央社会保険医療協議会総会(第291回)にて在宅医療が取り上げられ、本紙2745号にて「訪問診療について」を執筆したが、今回は訪問看護について述べたい。
 訪問看護とは、「居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、看護師等が行う療養上の世話または必要な診療の補助」をいう。サービス提供は、病院・診療所と訪問看護ステーションの両者から行うことができる。利用者は年齢や疾病、状態によって医療保険または介護保険の適用となる。原則的には介護保険の給付が優先されるが、要介護被保険者等については、末期の悪性腫瘍、難病患者(特掲診療料の別表第七に規定する疾病等の患者)、急性増悪等による主治医の指示があった場合――に限り、医療保険が適用される。厚生労働省「平成24年度国民医療費の概況」によると、国民医療費に占める訪問看護医療費の割合は0.2%で956億円、同年度「介護給付費実態調査」では介護サービス種類別構成割合に占める訪問看護は、2.0%で1,725億円である。
 訪問看護の事業所数は26年4月審査分で8,779カ所と増加しているが、訪問看護ステーション数が7,092カ所と増加する一方、訪問看護を実施する病院・診療所は1,687カ所(14年の44%)と減少し続けている。訪問看護ステーションの従事者数(常勤換算)は3万9千人余りと増加しており、看護職員77%、理学療法士等(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)18%等である。訪問看護ステーション1事業所あたりの職員数(常勤換算)は6.1人と緩やかに増加しているが、看護師4.3人、准看護師0.4人と小規模事業所が主流である。なお、理学療法士等は1.1人にまで増加しており、13年の5倍を超えている。
 医療保険、介護保険ともに、訪問看護サービスの利用者数は増加しており、25年6月ではそれぞれ12万4千人、32万8千人であり、13年に比して2.53倍、1.75倍となっている。医療保険の訪問看護については、別表七の疾病等に該当する利用者が61.7%を占めている。ターミナルケアや難病等により、1日に複数回の訪問看護を要する利用者が増加している。医療保険の訪問看護を受ける小児(0~9歳)の利用者数は26年6月には13年の6.83倍に増加し、長時間訪問看護加算の算定回数は14歳以下が約3割を占めている。小児の訪問看護利用者数は増加傾向にあるが、0~18歳児の訪問看護を実施する訪問看護ステーションは多くない。
 機能強化型訪問看護ステーションについては、26年12月末時点で252事業所の届出に過ぎず(1:108、2:144)、届出がない県が8県と地域差が見られる。26年7月の職員数は5~49人、平均値11.2人とばらつきが大きく、看護職員が約7割、リハビリ職が約3割である。同月の実績では、別表第七に該当する利用者が月に10~20人未満が最多で、ターミナルケアの算定数は年間15~20人が最も多い。
 訪問看護について、重症者等の受け入れ体制の整備やターミナルケア等の更なる推進のために、看護の質の評価の在り方や提供体制についての検討が必要である。(中)