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医師・医療関係者のみなさまへ

HIV地域透析医療機関研修会

府医ニュース

2015年5月20日 第2748号

柔軟な地域医療体制構築に向けて

 大阪府医師会は、平成26年度HIV地域透析医療機関研修会(大阪府受託事業)を3月25日午後、府医会館で開催した。
 開会のあいさつで宮川松剛・府医理事は、HIV陽性者の診療がエイズ診療拠点病院に集中している点を指摘。拠点病院との役割分担に向け、27年度は一般医療機関および透析医療機関を対象にHIV陽性者の受け入れ等に関するアンケート調査を実施するとして協力を呼びかけた。
 座長を務める白阪琢磨氏(感染症対策・予防接種問題検討委員会委員長)の紹介により登壇した田邉雅章氏(大阪府健康医療部保健医療室医療対策課参事)は、「HIV感染者の多様な医療ニーズに対応できる地域医療体制構築事業について」と題して講演。田邉氏は、治療法の進歩によりHIVは慢性疾患となり、今日ではHIV陽性者も長生きできる時代になっていると述べた。一方で、府内の新規HIV陽性者およびAIDS患者報告数は増加傾向にあり、腎障害への対応など、拠点病院だけではHIV感染症における透析管理が困難になる可能性があると示唆。今後は拠点病院を中心として他の医療機関においても患者受け入れ体制の構築を図りたいと語った。
 続いて、伊藤孝仁氏(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター腎臓内科長・栄養管理部長/当時)が「透析医療機関等におけるHIV陽性者への対応について」と題して講演。術前スクリーニングでHIV感染が初めて判明する場合もあるため、医療スタッフは十分な知識を備え冷静に対応してほしいと述べた。また、針刺し事故への対策として、ディスポーザブル製品の充実が重要であるものの、特別な施設や装備は不要であるとした。併せて、HIV陽性者への言動や対応への配慮をしつつ、可能な限り通常の対応をするよう求めた。