
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2015年5月6日 第2747号
関西医科大学同窓会大阪支部総会(支部長・杉岡武彦氏)が3月15日午後、同大学枚方学舎で開催。伯井俊明・大阪府医師会長が、「最近の医療情勢について」と題して記念講演を行った。
冒頭、伯井会長は年末に実施された総選挙を振り返った。国民に影響を及ぼす懸案事項が山積する中、「アベノミクス」を争点に選挙戦が展開されたが、民主党政権時代への抵抗感もあり、与党が安定的な議席数を確保したと総括。今後、安倍晋三政権は「数の力」を背景に、世論の支持が得にくい問題も実現させるだろうと見通した。併せて、菅義偉官房長官のマネジメント力、官邸主導の体制を指摘。「成長戦略」の実現に向けた強引な政権運営を憂慮した。安倍首相の施政方針演説では農協改革がクローズアップされたが、伯井会長は「医療も例外ではない」と強調。更なる規制緩和や混合診療の全面解禁などの動向を注視すると述べた。一方、「戦後以来の大改革の断行」と意気込む安倍首相の発言を分析。選挙の勝利に、長期政権への自信がうかがえると語った。
伯井会長は、人口減少・多死社会を迎えた我が国では、これまでのような成長を継続することは困難であり、成熟社会に応じた戦略を練り直すべきと論じた。医師として国民の健康を最優先に考え、これを脅かす施策には毅然と対峙するとした。また、財源が厳しい状況では、医療・福祉に関する適切な主張が行政に十分に認識されないまま、多くの場合は政治的に決定されると吐露。植松治雄・日本医師会執行部の一員として「医政」を担当した頃を振り返り、日医の主張を理解し、賛同してもらえる国会議員の存在が不可欠であったと説いた。この経験を踏まえ、在るべき医療政策の実現に向け、医師会の役割は大きいと改めて強調。来年夏の参議院議員選挙においても、一人ひとりが政治への関心を高めてほしいと述べた。
最後に医療制度改革について、平成25年8月に取りまとめられた「社会保障制度改革国民会議報告書」をベースに改革が進められていると言及。医療の給付範囲の縮小、負担増など、医療を取り巻く環境は一層深刻となっており、その対応が迫られているとした。