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時事

「開かれたサ高住」は果たして可能か

府医ニュース

2015年5月6日 第2747号

国交省中間取りまとめ公表

 4月15日、国土交通省から「サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会」中間とりまとめが公表された。この検討会は、地域包括ケアシステムの構築に向け、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の質の向上や適正立地など、時代のニーズに即応した施策の徹底した見直しのため、昨年9月に設置された。
 最初の「基本的な考え方」では、▼多様な世代が安心・健康に暮らせる「スマートウェルネス住宅・シティ」の整備推進に向け、サ高住を高齢者の安心居住の地域拠点として、補助等を通じて適切な立地を誘導し、地域包括ケアとコンパクトなまちづくりを一体的に推進、▼的確なサービスとコミュニティ豊かなサ高住へ魅力を高めていくため「サ高住のオープン化」を図り、地域に「開かれたサ高住」を推進――を謳っている。
 続く「現状と課題」では、(1)供給状況について、地域的なばらつきや医療機関等へのアクセスが悪い地域への立地もみられること、(2)質について、見守り・生活相談の従事者体制のばらつき、同一グループ事業所でケアプランを作成する入居者が多いなど過剰なサービス提供や、要介護度の重度化への対応に関する懸念を問題視している。また、(3)高齢者の居住状況で、要介護認定者の大半は在宅ゆえ、安心確保に向けた地域での見守り・生活相談体制を課題としている。
 そして「今後取り組むべき対策」として、『適切な立地の推進』では、1.市町村による供給方針の策定促進、2.公的不動産(PRE)や既存ストックの活用促進(既存の住戸等の活用推進のための整備支援の拡充や規制の緩和等)、3.事業者の理解(的確な需要予測に基づく事業者自らの検討が進む環境を整備)、4.周辺地域へのサービス供給拠点となるサ高住の整備推進(24時間対応定期巡回・随時対応サービスや小規模多機能型など、併設施設の整備への重点的支援)を示している。更に、『質の向上』で、1.見守り・生活相談サービスの提供体制強化(資格や従業者数の設定の検討)、2.重度化に伴う適切なサービス提供の確保(地域の医療・介護サービスとの適切な連携を推進)、3.情報提供の適正化、適切な指導監督と第三者評価を掲げた。また、『介護サービス利用の適正化』として、保険者による調査及び点検強化により、ケアプランの適正化を推進、『入居者の居住の安定確保』『地域における生活支援サービスの提供体制の確保(ICTを活用した地域のNPO等による安価な見守りサービスのモデル的取組の支援、介護保険の地域支援事業を活用した支え合い体制づくりの促進)』――を挙げている。
 現状、サ高住で提供される(在宅)医療については、遠方の医療機関による不自然・不適切な提供など、ネガティブな面の指摘も少なくないが、今後の本格的な人口減少・高齢化社会を考えれば、いかに地域に、そして、我々が長年培ってきた地域連携の枠組みに溶け込ませていけるかが、極めて重要なテーマとなろう。(学)