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医師・医療関係者のみなさまへ

第1回検案支援研修会

府医ニュース

2015年4月1日 第2744号

死亡診断書作成時の注意点を解説

 大阪府医師会は大阪府警察医会と共催し、平成26年度第1回検案支援研修会(司会:宮川松剛・府医理事)を2月25日午後、府医会館で開催した。
 24年に成立した死因究明2法と昨年6月に閣議決定された死因究明等推進計画に基づき、日本医師会と厚生労働省は検案体制の充実を目指している。府医においても検案活動における人材育成、資質向上の一環として、府警察医会と連携し、検案支援研修会を企画。初開催となる同日の研修会には、検案に携わる会員ら約120人が参集した。
 開会のあいさつで、府医救急・災害医療部長を務める茂松茂人・府医副会長は、大規模災害の発生や高齢化が進む中、検案依頼が増加すると予測。本研修会が検案への理解をより深める一助になればと期待を寄せた。竹中秀裕・府警察医会長は、一般の臨床医にも検案が要請される場合があり、検案の注意点を確認するよう強調。座長を務める府警察医会副会長の馬渕洋一氏は、検案は亡くなった方の権利、財産を守ることにつながる重要な役割を担っていると語った。
 登壇した巽信二氏(近畿大学医学部法医学教室教授)は、「死亡診断書の書き方(総論を含む)」と題して講演。まず、死体血のトロポニンT検査や、Ai(オートプシー・イメージング)の活用について、有効な検査方法とする一方、注意深く判断する必要もあると指摘した。
 次に、浴室内死亡事故の調査を一例に、死亡診断書・死体検案書の適切な記入方法を説述。不適切な記載による誤解から、民事訴訟などのトラブルに巻き込まれる恐れがあると注意を呼びかけた。
 更に、死亡診断書・死体検案書にかかわる法規に言及。検案の応招や検案書の交付要請があった場合の対応などを説いた。また、事例を交え、死亡診断書・死体検案書のいずれで作成すべきかの判断基準を示した。その上で、加療の有無・期間を問わず不慮の事故や外因による傷害の続発症、あるいは後遺症による死亡が疑われる場合や、外因と死亡との因果関係が明らかではなく、少しでも疑いのある場合は、異状死として届けるべきだとした。