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医師・医療関係者のみなさまへ
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時事
府医ニュース
2015年3月18日 第2742号
平成27年度介護報酬改定率は、介護職員の処遇改善、物価の動向、介護事業者の経営状況、地域包括ケアの推進等を踏まえ、マイナス2・27%(処遇改善:プラス1・65%、介護サービスの充実:プラス0・56%、その他:マイナス4・48%)であり、在宅・施設ともにマイナス(前者1・42%、後者0・85%)となった。
改定の方向としては、 1.「住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるようにする」という考え方を実現するため、在宅生活を支援するためのサービスの充実を図る、2.増大する介護ニーズへの対応や質の高い介護サービス確保の観点から、介護職員の安定的な確保とともに更なる資質向上を推進する、 3.介護保険制度の持続可能性を高め、より効果的かつ効率的なサービスを提供するため、評価の適正化や規制緩和等を進める――としている。
1.では、今後の増大が予測される「医療ニーズを併せ持つ中重度の要介護者等」への対応として、24時間365日の在宅生活を支援する定期巡回・随時対応型訪問介護看護をはじめとした包括報酬サービスの機能強化が指摘された。あわせて、在宅生活を支援する役割を果たす施設サービスについて、それぞれに求められる機能を更に高めるとした。効果的なリハビリテーションの推進に向けては、「活動」と「参加」に焦点を当てた新たな報酬体系の導入や質の高いリハビリテーションマネジメントの充実等を目論む。一方、看取り期の対応では、「その人らしさ」を尊重したケアが重要であることから、施設等において本人・家族およびサービス提供者との十分な意思疎通を促進させるような取り組みを重点的に評価する。また、認知機能や摂食・嚥下機能の低下により食事の経口摂取が困難となっても、自分の口から食べる楽しみを得られるよう、多職種による支援の充実を図ることなどが示された。
2.では、介護職員処遇改善加算は現行の仕組みを維持しつつ、一層の資質向上、雇用・労働環境の改善を進める事業所を対象とした上乗せ評価の実施が記された。また、介護福祉士の配置が一層促進されるよう、新たに介護福祉士の配置割合がより高い状況を「サービス提供体制強化加算」として評価するとした。
3.においては、集合住宅に居住する利用者へのサービス提供にかかる評価の見直しが行われる。訪問系サービスでは事業所と同一敷地内または隣接する敷地内の建物に居住する利用者を訪問する場合は、報酬を10%減算する等となり、通所介護、通所リハビリテーション等に関して、送迎を実施していない場合は、片道あたり47単位を減算するとしたのをはじめ、厳しい減算が見込まれる。良質な事業所の存続が脅かされないことを祈るばかりである。(中)