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時の話題
府医ニュース
2015年3月18日 第2742号
平成26年9月に地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(以下、検討会)が設置された。これまで検討会では、1.ガイドラインに盛り込む事項、2.策定した地域医療構想の達成のための「協議の場」の設置・運営に係る方針、3.病床機能報告制度において報告される情報の公表のあり方――の3点を柱とした議論が行われてきた。
第8回検討会(2月12日開催)では、厚生労働省から2025年の医療需要と各医療機能の必要量の推計方法(案)、病床機能報告制度において報告される情報の公表のあり方等(案)、地域医療構想策定ガイドライン案(以下、GL案)が提示された。GL案は、構想の策定プロセス、構想の策定における医療需要に対応する医療供給、構想の策定後の実現に向けた取り組み、「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)の設置・運営、都道府県知事による対応、構想の実現に向けたPDCAなどで構成されている。
GL案では、構想区域を現行の医療計画における二次医療圏を原則としているが、設定構想区域がこれと異なる場合は、次期医療計画の策定時に構想区域に合わせて二次医療圏を見直すよう求めている。2025年の医療需要と各医療機能の必要量の推計は、国が示す方法に基づき都道府県が推定するが、将来の必要病床数は不足している医療機能の充足のために医療機関の自主的な選択によって自然と収斂するよう、機能の分化・連携を推進する。医療機能(高度急性期機能・急性期機能・回復期機能・慢性期機能)ごとに、医療需要(1日当たりの入院患者数)を算出し、それを病床稼働率で割り戻して、病床の必要量を推計する。推計では、できる限り患者の状態や診療の実態を勘案できるよう、DPC病院の医療行為に関するデータやナショナルデータベースのレセプトデータを分析することとし、具体的には患者に対して行われた診療行為を診療報酬の出来高点数で換算し、医療資源投入量の多寡で見ていく。その他、推計に当たっては、入院受療率等の地域差や患者の流出入を考慮の対象とする。
今後、調整会議では地域の医療機関が担うべき病床機能や、地域医療介護総合確保基金に盛り込む事業などの協議が行われるが、議論の基礎となる病床機能報告制度等の情報の共有・理解を図ることが重要である。地域医療の崩壊を招くような地域の特性に配慮しない拙速な医療機能の再編を行うべきではない。