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時の話題
府医ニュース
2015年3月4日 第2741号
我が国の学校心臓検診は、昭和29年に大阪市で始まり、48年の学校保健法施行規則改定に伴い義務化され、平成7年より小・中・高各1年生に心電図検査が行われるようになった。以降、大阪市立学校における心臓検診は、児童・生徒約4万5千人を対象に、心臓検診調査票を基に受託事業者が、1.一次検診として検診業者が省略4誘導心電図測定並びに判読を実施、2.二次検診として対象者に12誘導心電図等を実施、3.必要な場合は三次検診として専門医が診察――という仕組みであった。一次から三次まで公費実施であり受診漏れがほとんどなく推移してきたが、担当医師の献身的な努力に依存していたことや、全結果の判明が年度末となり時間を要することがネックとなっていた。
このため、大阪市教育委員会は昨年度、26年度実施分から検診方法を見直すことを大阪府医師会に通知した。これを受けて府医学校医部会では、全国のモデルとなった大阪市立学校における心臓検診体制の在るべき姿の実現を目指して協議した。その結果、一次検診での判読体制強化と、二次検診としての心臓検診医の人的確保に向け、25年9月に学校医部会機能の更なる充実を図るべく、部会規約の改正や心臓検診のためのマニュアル作成に着手した。
26年度から新たな心臓検診体制がスタートした。一次検診では受託事業者が標準12誘導心電図で測定し、心電図のオーバーリードを府医学校医部会心臓検診心電図判読小委員会メンバーが担い、二次検診を要する児童・生徒を絞り込んだ。これにより、精密検査を要する対象者への迅速な対応が可能となった。二次検診では、同部会心臓検診小委員会メンバーに加え、小児循環器専門医を募り派遣することで、より安定した検診体制を確保した。更に、三次検診として府内小児循環器専門診療科を有する施設を紹介する仕組みとした。その結果、26年度の1次検診受診者4万5315人、うち有所見者は1786人(有所見率3.9%)。2次検診は校医指示者を含む2180人、うち要精検指示者414人(0.9%)であった。
このように、大阪市立学校における心臓検診は、スクリーニングから管理まで安定した体制を構築することができた。AEDの普及啓発とともに、より充実した心臓検診体制は、学校での突然死を起こす疾病予防、更には、心房中隔欠損症等の早期発見にも有効なことから、今回の取り組みを大阪府全域に広げたいと考えている。