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医師・医療関係者のみなさまへ

第112回エイジレス健康講座

府医ニュース

2015年2月18日 第2739号

ことわざから学ぶ健康習慣

 大阪府医師会・ATCエイジレスセンター実行委員会主催による市民を対象とした講演会「エイジレス健康講座」が1月17日午後、同センター(住之江区)で行われ、約50人が聴講した。通算112回となる今回は、村田秀穗氏(大阪府内科医会理事/村田病院副院長)が「ことわざから学ぶ健康習慣」と題して講演。6つのことわざを医学・科学的見地から解説し、生活習慣にも触れながら、健康の大切さを伝えた。

腹八分目医者いらず1

 食後血糖の上昇は、糖尿病や心血管系疾患による死亡のリスクを高くすると指摘。ゆっくり食事することで、腹八分目で満足感を得られ、食後高血糖の状態を作り難くし、糖尿病やそれに起因する疾患の予防につながるとした。

秋茄子は嫁に食わすな2

 ナスは体を冷やす食べ物とされ、時宜に応じた摂取でより効果が得られると主張。医食同源の考えに由来し、体に良い食材を恒常的に摂ることが健康保持に有用とした。

喉もと過ぎれば熱さを忘れる3

 解剖学的には食道に温痛覚はなく、「経験上の知識」と前置き。一方で、初期食道がんなど発見が遅れることも散見されると強調。CT画像を提示し、検査による早期発見の重要性と高リスク因子である喫煙・過剰飲酒に注意を促した。

寝る子は育つ4

 睡眠時に成長ホルモンが分泌されることなど、睡眠の大切さを指摘。免疫や疲労回復にも不可欠であり、子どもだけではなく成人にも良質な睡眠が必要と述べた。

笑う門には福来る5

 笑うことで、「抗ストレス」「βエンドルフィンの分泌」「免疫系の強化」などの効能が期待できるとし、健康にも効果的との研究結果を紹介した。

医者の不養生6

 実際に、アメリカでは「医師の寿命は短い」との報告もあり、自身の健康状態を例に「患者さんの健康は意識しても自分は省みないのかもしれない」との思いを語った。
 その上で、健康の概念に言及。「単に身体的病気がない」ことが健康ではなく、社会とのかかわりの中で満足した生活を送ることが大事との持論を展開。ことわざにも生き方のヒントが多くあり、日々の暮らしの中で「自分の健康」を見つけてほしいと締めくくった。

1.満腹になるまで食べず、八分目くらいで抑えれば健康に良いという意
2.おいしい秋の茄子は、もったいないから嫁には食べさせるなという解釈と、茄子は体を冷やす、あるいは種が少ないので子どもができないといけないから、嫁には食べさせるなとする両方の意味がある
3.過ぎてしまえば、苦しさや恩も簡単に忘れてしまうということ
4.よく寝る子は丈夫に育つということ
5.いつもにこやかに笑っている人の家には、自然に幸福が来るということ
6口では立派なことを説いているが、実行が伴わないことのたとえ