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医師・医療関係者のみなさまへ
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時事
府医ニュース
2014年11月26日 第2731号
平成26年11月6日に第113回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、27年度介護報酬改定に向けての議論が行われた。その中で、論点のひとつとして介護療養型医療施設が担っている機能の重点的評価に対する提案がなされた。すなわち、以下の要件を満たす「療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)」を、医療ニーズや看取りへの対応が充実した施設として重点的に評価して、存続を認める。要件は、①入院患者のうち、重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者が一定割合以上であること、②入院患者のうち、一定の医療処置を受けている人数が一定割合以上であること、③入院患者のうち、ターミナルケアを受けている患者が一定割合以上であること、④生活機能を維持改善するリハビリテーションを行っていること、⑤地域に貢献する活動を行っていること――の5項目を設定し、これらをすべて満たす施設を対象にする。
第105回介護給付費分科会資料によると、介護療養病床と医療療養病床の機能分化が進んでいるが、介護療養型医療施設では介護老人保健施設より高い頻度で、喀痰吸引、経管栄養、膀胱留置カテーテル・導尿等排尿時の処置や24時間持続点滴等の処置を実施している。
介護療養型医療施設では、他の介護保険施設と比較して看取り、ターミナルケアの実施が多い。100床あたりの年間看取り実施人数は医療療養病床55.0人、介護療養病床29.2人、介護老人保健施設6.1人、介護老人福祉施設9.5人であり、ターミナルケア実施人数はそれぞれ47.1人、23.3人、7.3人、3.9人である。
なお、介護療養病床の転換先として検討されているのは医療療養病床が最も多く(約51%)、次いで介護療養型老人保健施設(約15%)、一般病床(約8%)であった。介護療養型医療施設における要介護度別入所者割合の推移をみると、要介護4および5の入所者の割合は、13年の約75%から25年には約90%と増加傾向にある。
厚生労働省が廃止方針を転換するのは、以上の介護療養病床の役割等に加えて、在宅で高齢者をケアする体制が整わず、病床廃止後に行き場がなくなる高齢者が出かねないと判断したためと思われる。厚労省は医療の必要度が高い患者が多い病床に限って存続を認めることで、病床再編を通じた医療費の効率化は今後も進める方針であるが、社会的入院の温床になる余地を指摘する意見もあり、軌道修正の行く末を見守る必要がある。(中)