
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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勤務医の窓
府医ニュース
2014年11月19日 第2730号
ことさらにチーム医療を!という表現をしていたのは何年前のことであったろうか。現行の医療は既に医師とその医療補助を担う看護師との二人三脚のみでは成り立たない程、病棟業務は顕著な進化を遂げている。
とある一日…入院患者の入室は看護助手の誘導で身長・体重測定の後、面会室・トイレ・浴室・病室とオリエンテーションが行われ、ベッドサイドへと導く。担当看護師の問診・バイタルチェック、主治医診察、病棟薬剤師の持参薬確認、タイミングが合えば管理栄養士の入院食説明と栄養指導、リハビリ室では担当理学療法士の運動療法と続く。退院前に後方支援が発動しリハビリ病院か療養型病院への転院か、自宅での療養が困難な家族構成であれば施設の紹介と、間断なく全職種が自主的に行動を起こす日々である。更に、主科・主病棟のチーム医療に加え、NST・せん妄がある高齢者にはOST(高齢者サポートチーム)・人工呼吸器がつけばRST(呼吸療法チーム)・疼痛コントロールには緩和ケアチーム・糖尿病チーム(当院では全入院の46・2%が糖尿病かその疑い症例のため)・褥瘡対策チーム・口腔ケアチーム・ICT・MRMと全館を通しての検討が自主的に行われている。
チーム医療の責任者として、近未来の理想とは? 入院診療計画書の病名や既往歴を見て…管理栄養士が治療食を提案する…医師はその確認と承認。病棟薬剤師がその患者の服用薬、肝機能・腎機能、既往薬剤アレルギーを確認し、今後の併用薬処方の注意点を助言する…医師はその確認と処方。理学療法士が入院時の患者ADLと自宅での介護度や自宅環境(一戸建て・集合住宅・階段の有無・公共交通機関利用の可否等)を把握。入院臥床によるADL低下を入院時より予防し治療後に入院前の環境へスムーズに誘導。ADLが落ち入院前環境への復帰困難が予想されれば理学療法士は後方支援と連携し、施設への入所またはリハビリ病院への転院を提案する…医師はその退院方向の決定と必要時は他院への情報提供。超高齢社会における医療は積極的・責任分散型・同時進行型チーム医療でなければ、現行の医師数では事が成就できないと思う。
高度に分化した医療を行うべく入院診療に外来診療に手術に検査にと医師は走り続けている。当院でもマラソンや登山をするスーパーマンドクターが増えつつあるのは自然適応であろうか。スーパーマンでなければ業務をこなせなくなってきているのではと懸念する(マラソンも登山もできない臨床医の呟き)。
市立池田病院 院長補佐 津川 真美子 ――1262