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医師・医療関係者のみなさまへ

旭区医師会在宅医療連携拠点支援事業研修会

府医ニュース

2014年8月27日 第2722号

地域包括ケア構築のカギは地区医師会

中尾・府医副会長が講演
 大阪府医師会の中尾正俊副会長は8月1日午後、旭区医師会(井口和彦会長〈府医代議員会副議長〉=上写真円内)主催の「大阪府在宅医療連携拠点支援事業研修会」に講師として同医師会館に招かれた。講演では、地域包括ケアシステムの構築や、在宅医療・介護の連携推進方策を説明。医療・介護両保険制度の統合に懸念を示す一方、地域住民や多職種を見据えた地区医師会の機能発揮に期待を示した。
 旭区医師会は十数年来の高齢者・認知症対策への取り組みにより、医療機関間や多職種との人的・組織的な連携基盤の構築に努めてきた。研修会は、河本政一・同医師会理事が進行。冒頭、井口・同医師会長は現在運営中の在宅医療連携拠点推進事業について更なる充実を図りたいとあいさつ。座長を務める守上賢策・同副会長は、区内人口がやがて9万人を割り込む一方、65歳以上人口が4割超の地域も存在するなど、地域住民を支えるには医療機関を含む多職種連携が不可欠であると説いた。
 中尾・府医副会長は、高齢化の推移とともに大阪府の在宅医療施策を俯瞰。地域包括ケアシステムの構築について市町村や地区医師会が果たす役割を説いた。そして、府医が受託した転退院調整・在宅医療円滑化ネットワーク事業(平成24・25年度)および事業成果を踏まえた在宅医療連携拠点支援事業(26年度)の取り組みを示し、医療・介護・予防の一体的な提供を進める上でのかかりつけ医と地区医師会の役割を詳述。地域包括ケア体制構築に向け、病院団体や大阪府訪問看護ステーション協会と連携し、地区医師会が在宅医療連携拠点として役割を果たすことが期待されているとした。
 一方、中尾・府医副会長は、医療提供体制と保険制度が分離されずに医療制度が見直されることや、厚生労働省保険局内の組織変更の思惑には医療保険と介護保険の統合が想定されており、このまま推移すれば患者にとって適切な医療・介護サービスの提供が難しくなると懸念した。