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時事
府医ニュース
2014年8月27日 第2722号
第77回社会保障審議会医療保険部会(平成26年6月)では、審査支払機関の在り方について協議が行われた。
この討議は、19年の規制改革会議や21年の行政刷新会議での指摘を受けて、「審査支払機関の在り方に関する検討会」(22年4月~12月)における議論の中間的整理が端緒となっている。審査は医師または歯科医師の専門的知見に基づく判断であり、審査手数料と査定率との連動よりも、ITの活用や「判断基準の統一化」により審査機能の強化を進めることや、組織の統合について、定量的な検証および効果・留意点を含め、統合と競争の観点から引き続き検討するとした。
その後、衆議院決算行政監視委員会における決議等も加味し、審査支払機関の在り方について、社会保障審議会医療保険部会において24年4月から5月まで議論され、継続して検討されている。
このうち、第52回医療保険部会(同年4月)では、在り方検討会の中間的整理として、「患者の個別性・地域の医療体制の尊重」「国民が受ける医療に違いが生じない共通の判断基準」「迅速で効率的な審査支払い」という前提で、「審査の質の向上」「審査・支払業務の効率化」「統合、競争促進の観点からの組織の在り方」という3つの柱で各種の対策が資料提出された。
「審査の質の向上」に関する取り組みとして、審査の均一性確保に向けた判断基準の統一化を図るため、各都道府県と中央レベルで支払基金・国保連合会の連絡協議会を設置するとともに、共通の「審査情報提供事例」を取りまとめ、26年5月時点で216件が公表されている。支払基金支部と国保連との間で、審査の判断基準に差異(ローカルルール)があることが指摘されており、この取り組みにより解消が期待される。加えて、もうひとつの課題であるそれぞれの「審査支払機関内差異」についての解消にも努力すべきと考える。
「審査・支払業務の効率化」については審査手数料の引き下げ、職員定数の削減等を実施し、例えば支払基金では12年前のピーク時に比べると3割近く職員を削減している。
「統合、競争促進の観点からの組織の在り方」においては、保険者は支払基金と国保連の相互に審査委託が可能となっており、直接審査も認められている。
「規制改革会議の2次答申」(6月)からも審査支払機関の在り方に対して2提案がなされた。審査支払機関の審査前に点検することを希望する保険者がいる場合、事前に内容点検を行い、疑義があるもののみ審査を依頼し、それ以外は支払いだけを依頼するという仕組みが取れないかとの案である。もう一点は診療報酬明細書の審査体制の強化である。審査支払機関間、同一機関であっても各地域の支部等との間で審査ノウハウが十分に共有されておらず、同一の請求内容でも審査する主体により、審査にばらつきが大きい。これを解消するため、将来的には審査の判断基準の統一化を目指し、コンピューターを使ったチェックの更なる拡充を図るとともに、審査委員会における審査ルールおよび査定結果の共有化を図ることが提案されている。(中)