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府医ニュース
2014年6月4日 第2714号
第5回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(松下明会長/岡山家庭医療センター奈義ファミリークリニック所長)が5月10日・11日に岡山コンベンションセンター(岡山市)で開かれた。今回のメインテーマは「家族の力と地域の力――これからのプライマリ・ケアの姿を求めて」。大阪府医師会は、医師調査(会員意見調査)・府民調査の結果を基に加納康至理事および調査委員会委員が報告を行った。
加納理事は、府医が平成7年より行っている府民調査事業について報告した。情報発信の在り方は、「地域住民のための医療提供体制の充実」を念頭に置くことが肝要と前置き。その方策として、「エリアサンプリング」「地区医師会配布」の2通りの方法で実施し、両者を比較検討しているとした。これは、府民の意見や実態の把握に留まらず、「医師会の政策立案にも有益」と主張。具体的な取り組み例として、地区医師会における地域医療連携窓口の設置を紹介した。
中村正廣・府医調査委員会委員長は、在宅医療に関する認識やかりつけ医を持つことの意義について、府民調査および会員意見調査を基に見解を述べた。冒頭、超高齢社会を迎え、在宅医療が注目される中、「医療を受ける側(府民)と提供側の認識に差がある」との調査結果を提示。従来から診察していた患者への在宅医療提供を望む医療者側に対し、患者側の高齢層では「かかりつけ医の在宅機能を重視していない」との傾向が見られたとして、これらを考慮した地元医師会の取り組みに言及。「かかりつけ医」の役割を改めて発信しつつ、退院後や通院中の患者にかかりつけ医を紹介する「地域医療連携室」の設置を報告した。また在宅医療の推進には、かかりつけ医を通じ、「在宅死を含めた意識変換を促すことが重要」と訴えた。
岩本伸一・同委員は、会員意見調査の中から「総合診療医」および「かかりつけ医」に関する項目に着目。29年度から導入が検討されている「総合診療専門医」の創設を踏まえ考察を加えた。岩本氏は当該専門医の議論の背景に「地方における医師不足」を挙げ、総合医養成が課題であることに一定の理解を示しつつも、「かかりつけ医の概念と重複する」と問題を提起。機能の重複によって生じる現場の混乱を懸念した。あわせて、一般に普及・定着している「かかりつけ医」との整合性が必要になると見通し、新たな専門医制度として導入する際には、地域医療を担う医師に更なる説明が求められるとした。