
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2014年5月21日 第2712号
以前と比べ、第4・第5ブロックでも女性医師支援の意識がかなり変化する兆しがある。
「がんばる女性医師を応援します」と題して2月15日に開かれたシンポジウムでは、東大阪市立総合病院小児科・古市康子先生、八尾市立病院小児科・道之前八重先生、大阪南医療センター小児科・山本よしこ先生、富田林病院腎臓内科・米田雅美先生から現状報告があり、演者らが属する科では、十分な協力体制がとられている印象を受けた。府下において医師不足は徐々に解消されつつあるが、本シンポジウムも医師不足を一番の問題と位置付ける病院がほとんどであり、苦しい状況下での各病院の努力が実を結んできた印象を受けた。
今回発表された病院でも、科によっては代理医師がいないため、育児休暇が取りにくい少人数の診療科が今なおある。しかし印象的であったのは、米田先生の発表であった。星合昊院長と十分な雇用条件等の交渉で、フレックスタイム導入や他の内科医師の協力体制の下、育児に専念できる時間を確保されたのである。病院にとっても雇用継続の意義は大きく、明確な条件の提示は妥協の余地がある。
このように、少人数科の女性医師支援で重要なのは、管理者の当事者への細やかな勤務体制への配慮であろう。以前は過重な負荷がかかっても訴え出る場所がなく、泣き寝入りの嘆願が多かったが、そのような状況を好転させるには、一人ひとりがしっかりと主張することで、病院にとっても良い方向になることが示された。
このような配慮は、八尾徳州会病院副院長・原田博雅先生、河内総合病院副院長・岡崎仁志先生、阪南中央病院長・中田成慶先生のご講演でも提示された。これら3病院では、保育所や病児保育が既に完備されており、また育児で第一線を退いた女性医師の、再復帰指導にも力を入れる管理者の意気込みがある。女性医師を積極的に登用することにより、医師不足で痛む病院の発展を託すという気迫の表れである。医師数に余裕があるところは、支援を十分にして女性医師確保に努め、また医師数の少ない科でも、労働条件が悪いまま放置するのではなく、個人の希望に沿った短時間雇用の採用など、各個人の勤務環境を守る個別の方法を、管理者側が慮ることが重要である。またそういう病院に女性医師が集中し始めているのである。
病児保育は女性医師支援のバロメーターではないが、この1年で第4・第5ブロックでは、病児保育所数で大きな進展があった。しかし病児保育は医師のためだけのものではない。多職種が男女を問わず期待するところであり、また社会も必要としている。この問題に人事面で一番着手しやすい医療機関が、率先して取り組む意義は大きい。