TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

豊中市医師会からの報告

府医ニュース

2014年4月30日 第2710号

豊中認知症研修会

 豊中認知症研修会が3月1日、豊中市すこやかプラザで開催された。本研修会は豊中市の事業である「認知症対策連携強化事業」の一環で、認知症サポート医の協力の下、多職種の方を対象に行われた。

住み慣れた地域で過ごすために

 当日は、豊中市医師会副会長で認知症サポート医でもある前防昭男氏のあいさつで始まり、第1部では市立豊中病院精神科の徳山まどか氏(認知症サポート医)と認知症看護認定看護師である大久保和実氏による基調講演が行われた。「とよなか発 認知症医療・福祉連携~先生の患者さんの中に認知症の方がいらっしゃるかもしれません~」と題し、豊中版の認知症を支える仕組みから、実例を交えながら認知症に気付くポイント、各種抗認知症薬の特徴、認知症患者への対応まで、幅広い話があった。その後、豊中市社会福祉協議会の國定須美子氏より平成25年度に改訂された「認知症医療・福祉おたすけマップ」の解説が行われた。
 第2部ではパネリストとして、病院の立場より先の徳山医師、認知症看護認定看護師より同じく大久保看護師、認知症サポート医より小林医院の小林隆一医師、認知症疾患医療センターより山本誉麿医師・野上智子相談員、コーディネーター役に天羽クリニックの天羽康雄医師(認知症サポート医)を迎え、身体疾患を持つ認知症患者がBPSDを呈した時の対応や支援について、それぞれの立場からディスカッションした。その中から身体疾患を持つ認知症患者の転院には入院の時以上に高いハードルがあることや、ワンストップの相談窓口として各職種が担える役割や見通しなどが課題や成果として見え出した。
 今後ますます増えてくる認知症患者を地域で支えていくために、とても有意義な研修会となった。

「虹ねっと」全体会
地域包括ケア体制の構築 医師会としての取り組み

 豊中市医師会では平成19年度から、医療と介護の連携を図るため、多職種協働で意見交換や事例検討・研修会を定期的に開催し、それぞれの役割を互いに理解することで円滑な連携の構築に取り組んできた(通称「虹ねっと」)。その「虹ねっと」の全体会が3月17日午後、千里ライフサイエンスセンターライフホール(豊中市)で開催された。
 第1部は講師に仙台往診クリニック院長の川島孝一郎氏を招き、「在宅緩和ケアと国際生活機能分類(ICF)~説明責任と具体的支援~」と題して講演頂いた。
 第2部では豊中市薬剤師会副会長の多田耕三氏をファシリテーターに迎え、川島氏をコメンテーターとして「在宅緩和ケアQ&A」を実施。多職種間で情報共有を行うための工夫や訪問歯科診療との連携方法などの質問が交わされた。
 第3部は千里地域包括支援センターの丸山妙子氏、多田宜子氏から25年度作成された在宅緩和ケアマニュアルの解説など、虹ねっと連絡会の取り組みが報告された。
 出席者は、医師会12人、歯科医師会6人、薬剤師会7人、訪問看護ステーション連絡会11人、病院連絡協議会8人、介護保険事業者連絡会75人、社会福祉協議会1人、民生委員1人、他市6人、地域包括支援センター42人、行政(市立豊中病院含む)16人、計185人。まだインフルエンザが流行している平日の日中にもかかわらず多数の参加が得られ、関心の高さがうかがえた。