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時事

国じゅうで進む高齢・孤立化

府医ニュース

2014年4月30日 第2710号

4月11日、国立社会保障・人口問題研究所から「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」が公表された。これは、2010年の国勢調査に基づき、10年から35年の25年間について5年ごとの推計を行ったもので、昨年1月には全国推計が発表されていた。

幸福、尊厳の再構築に迫るタイムリミット

 推計によると、①平均世帯人員は、10年の2.03人(東京都)~2.94人(山形県)から、35年の1.87人(東京都)~2.59人(山形県)に推移し、全都道府県で減少する。大都市地域で少なく、東北から中部並びに西日本の日本海側で多い(大阪府:2.28人→2.07人、全国:2.42→2.20人)。
 ②最大の割合を占める家族類型は、10年では28都道府県で単独世帯、18県で夫婦と子から成る世帯、1県でその他の一般世帯であったが、25年以降、全都道府県で単独世帯が最大となる。
 ③高齢世帯(世帯主が65歳以上)が一般世帯に占める割合(以下、割合)は、10年の26.2%(東京都)~40.5%(秋田県)から、35年の35.8%(東京都)~52.1%(秋田県)に推移する。10年には9都県で20%台だが、20年には全都道府県で30%以上となり、35年には41道府県で40%以上となる(大阪府:31.3%→40.0%、全国:31.2%→40.8%)。
 ④独居高齢者世帯の割合は、10年の7.1%(滋賀県)~14.6%(高知県)から、35年の12.2%(滋賀県)~20.1%(鹿児島県)に推移する(大阪府:11.7%→17.5%、全国:9.6%→15.4%)。
 ⑤75歳以上の世帯主世帯の割合は、10年の10.6%(埼玉県)~21.1%(鹿児島県)から、35年の19.3%(東京都)~32.9%(秋田県)に推移する(大阪府:12.9%→22.6%、全国:14.1%→23.7%)。
 ⑥75歳以上の独居高齢者世帯の割合は、10年の3.3%(埼玉県)~9.6% (鹿児島県)から、35年の7.3%(滋賀県)~13.8%(鹿児島県)に推移する。西日本で高く東日本で低い(大阪府:5.7%→10.4%、全国:5.2%→9.4%)。④~⑥いずれも全都道府県で上昇となる。
 ⑦世帯数そのものは、全国では20年以降減少し、25年以降は沖縄県を除く46都道府県で減少となるが、75歳以上の独居世帯数は、10年からの25年間で全都道府県で増加する。増加率は全国の73.1%に対し、埼玉県(135.1%)、千葉県(119.4%)、神奈川県(110.4%)、沖縄県(108.5%)の4県では100%を超え、2倍以上となる。
 総人口が減少する中での、高齢化と孤立化の更なる進行は、決して均質ではないとしても、全ての都道府県が直面する。別の推計では、25年には、20~64歳と65歳以上との人口比率が、わずか1.8になるとされる(1990年は5.1、2010年は2.6)。一方で、家族の介護のために仕事を辞める「介護離職」が大きな課題になりつつある。
 かつてない人口環境の中での、幸せで人間らしい生き方、逝き方、支え方とは――。社会全体が燃え尽きる前に、準備のために残された時間は、極めて少ない。(学)