
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2014年4月2日 第2708号
関西医科大学同窓会大阪支部総会(支部長・杉岡武彦氏)が3月16日午後、昨年竣工した同大学枚方学舎で開催された。記念講演に招かれた伯井俊明・大阪府医師会長は、「最近の医療情勢について」と題して登壇。医療を巡る諸問題を提示し、共通認識を深めたいと呼びかけた。
伯井会長は、我が国の公的医療保険制度への脅威として、「TPP」「成長戦略・規制改革」「国民皆保険を支える財源」「診療報酬改定」を挙げ、それぞれに説明を加えた。TPPに関しては、ISDS条項が適用された場合、公的医療保険制度が参入障壁と訴えられ、健康保険法の改正を求められる可能性や、ラチェット規定によって規制改革で変更された制度の見直しができなくなる点を示唆。混合診療では、規制改革会議の民間委員など解禁推進派が、「全面解禁」「評価療養の対象拡大」「選定療養の対象拡大」のいずれを主張しているかを見極めなければならないと指摘した。あわせて平成16年12月、厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣により、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により担保する」との基本合意がなされていると紹介。この内容を今後も維持すべきと訴えた。そして、保険外併用療養制度は公的医療保険を補完する位置付けとして評価するが、最終的には必要な医療が公的医療保険に組み込まれなければならないと述べた。
また、国家戦略特区ワーキンググループにおいて、外国人への医療サービスの提供、外国人医師の国内医療解禁、病床規制の見直し、保険外併用療養の拡大などが検討されているとして、警戒感を表明した。更に、医療費財源の確保と偏在の解消を主張。特に伯井会長は、調剤医療費の大幅な上昇に着目し、非営利である医療行為そのものが圧迫されている現状を懸念した。26年度診療報酬改定については、消費税増税への対応を除く実質ベースのネット改定率が、1.26%のマイナス改定であったと報告。従来の方針に反し、薬価引き下げ分が医療本体の財源に充当されなかったことを批判した。
最後に伯井会長は、医療保険制度の持続性を担保するため、政治が責任を持って財源を確保すべきと強調。国民医療を守るべく、医師会も力を尽くすと述べ、更なる理解と協力を要請した。