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時事
府医ニュース
2014年4月2日 第2708号
平成26年度診療報酬改定の基本方針に、「在宅医療を担う医療機関の量の確保」と「患者のニーズに対応した質の高い在宅医療の提供の推進」が掲げられ、在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)の機能強化と在支診・在支病以外の医療機関による在宅医療の推進や訪問診療の適正化等が挙げられた。
在宅医療を担う医療機関の確保と質の高い在宅医療を推進するために、(1)在宅療養後方支援病院を新設し、在宅患者緊急入院診療加算と在宅患者共同診療料の算定で評価する、(2)在支診・在支病の質の強化を目的として機能強化型在支診・在支病の実績要件を強化する。すなわち、過去1年間の緊急往診の実績が5件以上から10件以上になり、在宅看取りの実績も2件以上から4件以上になるとともに、複数の医療機関が連携して前記の要件を満たしても差し支えないが、それぞれの医療機関が緊急往診の実績4件以上と看取りの実績2件以上を満たすことが求められる、(3)在宅医療を担う医療機関の量的確保を目的として実績のある在支診・在支病の評価とそれ以外の在宅時医学総合管理料(在医総管)と特定施設入居時等医学総合管理料(特医総管)の評価を行う。つまりは、常勤医師3名以上確保されていないが、十分な緊急往診および看取りの実績(それぞれ10件以上かつ4件以上)を有する在支診・在支病に対する評価として在宅療養実績加算を新設する。更に、在支診・在支病以外の医療機関の在医総管と特医総管を引き上げる――といった方針が示された。
一方、同一建物における同一日の複数訪問の評価を下げるとともに、保険医療機関が経済的誘引による患者紹介を受けることを禁止する規定が設けられた。在医総管、特医総管について、同一建物における複数訪問時の点数を新設し、評価を引き下げる。更に、訪問診療料の要件を厳格化するとともに、同一建物における評価を引き下げることとされた。
ただし、中医協で答申後、現場から様々な声があがった。これを受けて日本医師会は、通知などの運用で緩和措置を講ずるよう厚生労働省に申し入れ、最終的に厚生労働大臣の判断で、在医総管等の算定において緩和が行われることとなった。その内容は、①同一患家等で、夫婦等の診察をした場合の減額は行わない、②同一建物での減額は、月1回、「訪問診療料1(同一建物以外の場合)/(833点)」を算定した場合は行わない、③同一建物の複数訪問であっても、往診、末期の悪性腫瘍患者(訪問診療開始より60日以内に限る)、死亡日からさかのぼって30日以内の患者は、患者数とカウントしない、④特定施設等で同一建物で同一日に算定する患者のカウントは医療機関単位ではなく医師単位(医師3人までに限る)とする、⑤サービス付き高齢者向け住宅等の施設の医師確保について、全国特定施設事業者協議会やサービス付き高齢者向け住宅協会等が窓口を作り、医師会が仲介する――等とするものであり、通知などが発出される予定である。果たして、在宅医療を担う医療機関は増えるのであろうか。(中)