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硤合憲三先生ノーベル化学賞受賞

府医ニュース

2026年10月28日 第3160号

 また日本から素晴らしい受賞者が出た。不斉自己触媒反応というテーマである。不斉合成では、野依良治先生もノーベル化学賞を受賞されているが、今回は医学的な視点からその意義を考える。 地球上の生命体は、蛋白質を構成するアミノ酸にL型を用いている。Soai反応の重要性は、自然界の揺らぎで生じたごく微小な左右差が、自己触媒反応によって大きく増幅され、一方の立体構造が優勢となることを、核酸も酵素も細胞も使わず化学反応だけで示した点である。ある分子状態が、自分と同じ立体状態を持つ分子の生成を促し、その形が自己増幅していく。これはDNA情報だけでなく、分子の形や状態そのものも情報になり得ることを示唆する。極論すれば、プリオンやアルツハイマー病のアミロイドβ・タウ、パーキンソン病のαシヌクレインにみられる自己増殖、さらにエピジェネティック現象とも共通する。Soai反応は、生命における情報とは何かを、分子レベルから捉えた概念として意義がある。 (晴)