
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2026年10月21日 第3159号
9月度郡市区等医師会長協議会(令和8年度第6回)が9月11日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は加納康至会長あいさつ(要旨)。
いわゆる「大阪都構想」について、大阪府医師政治連盟の委員長としてではなく、府医会長としてお話しする。
「副首都構想」は前向きに検討すべきと考えるが、大阪市を廃止して4つの特別区とするいわゆる「大阪都構想」には大きな懸念があると認識している。大阪都構想は平成27年と令和2年の2度、住民投票で否決されている。「なぜ、もう一度この制度を進める必要があるのか」「市民の暮らしは本当に良くなるのか」など改めて考える必要がある。果たして市民はこの点を十分に理解しているのか。医師会として、患者や市民に対し、大阪市の医療・介護・福祉が現状どのように守られているのか、そして今後どのようになってしまうのかを丁寧に伝える必要がある。
まず懸念されるのが、医療行政の脆弱化につながる危険性だ。現在、大阪市保健医療連絡協議会では、大阪府、大阪市、大阪市内の各医師会、病院などが一堂に会し、長きにわたって大阪市域の医療を支えるために連携を図ってきた。地域医療構想をはじめ、病院の機能分化や救急搬送、紹介受診重点医療機関など、大阪市域を一つの医療圏として様々な課題について議論を重ねている。しかし、仮に大阪市が4つの特別区に分かれたら、これまで大阪市全体として一つであった行政側の窓口や意思決定の主体がどのようになるのか不透明である。それぞれの特別区で考え方や施策が異なり、医療行政の足並みが乱れることはないのか懸念する。医療は行政区域だけで完結するものではない。行政体制の変化が地域医療の連携にどのような影響を及ぼすのか、十分に検討しなければならないと考える。
次に、医療・介護・福祉の連携が分断されかねない点だ。医療・介護・福祉は、それぞれを別々に考えるのではなく、地域の中で一体となって考える必要がある。特に、患者の生活を支えるためには、医療機関だけではなく、介護サービスや福祉サービス、行政などが相互に連携することが重要だ。仮に4つの特別区になれば、地域のネットワークが行政区域によって分断されることがないのか危惧する。救急医療や病院間の連携においても、患者の居住地や医療機関の所在地によって、行政区域の区割りに左右されるようなことがあってはならない。患者から見れば、行政の区割りに関係なく、必要なサービスを受けられることが重要である。そのため、4つの特別区となった場合も、現在築かれている連携ネットワークを、どのように維持していくのかが重要な課題になる。
さらに、保健所が4つ設置されることによる「行政の縦割り」も大きな懸念だ。感染症対策は、行政区域の境界に沿って対応するのではなく、実際の患者の動きや医療機関との連携、感染の広がり方に沿って対応する必要がある。例えば、仮に新興感染症が発生した場合、4つの特別区に設置された保健所が個別に対応するのだろうか。行政区域が4つに分かれることで、情報共有や指揮命令、医療機関との連携などに時間がかかるようなことがあれば、感染症対策そのものに影響を及ぼすリスクがある。
以上、今のところ都構想の考え方に関する説明を受けていないが、現時点での懸念点についてお話しさせていただいた。